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景表法検討会、法改正を提言 確約手続き、直罰規定など導入求める

 消費者庁の景品表示法検討会(中川丈久座長=神戸大学大学院法学研究科教授)が景表法改正の必要性を提言する報告書を取りまとめた。不当表示の早期是正を念頭に置いた確約手続きの導入を始め、違反行為を繰り返す事業者の抑止力強化を目的にした課徴金の割増算定率の適用などを求める。表示と実際のかい離を認識しながら不当表示を行う悪質事業者に対応するため刑事罰(直罰規定)の導入も提言する。

 景表法検討会は22日、都合10回目の会合を開催した。同庁表示対策課のプロジェクトチーム(検討会事務局)と座長らが取りまとめた報告書案について議論。特に異論は出ず、30分足らずで閉会した。

 消費者庁は今後、微修正を加えた報告書が正式に取りまとめられた後、検討会の提言を受けて、景表法改正法案の作成に入る。表示対策課幹部は、来年の通常国会に法案を提出する可能性もある、としている。前回の改正は2014年。この改正で、優良・有利誤認表示を行った事業者に対する課徴金制度が導入された。

 報告書では、デジタル化の進展など前回の法改正後に大きく変化した社会状況や、景表法の執行状況などを踏まえ、足元の課題を、早期に対応すべきものと中長期に検討すべきものの2つに分類。早期対応を求める課題に関して法改正の必要性や運用の見直しを提言する。

 早期の対応を提言するのは以下10課題。

・事業者の自主的な取組の促進(確約手続の導入)
・課徴金制度における返金措置の促進(電子マネー等の活用など)
・違反行為に対する抑止力の強化(課徴金の割増算定率の適用、課徴金の算定基礎となる売上額の推計等)
・刑事罰の活用
・国際化への対応(海外等に所在する事業者への執行の在り方など)
・買取りサービスに係る考え方の整理
・適格消費者団体との連携
・法執行における他の制度との連携
・都道府県との連携
・不実証広告に関する民事訴訟における立証責任等

 景表法違反事件の端緒件数が増加し、かつ、事件処理期間が長期化している中で、事業者の自主的な取り組みを通じた早期是正を促す仕組みの導入が提言の柱。加えて、違反を認識しながら不当表示を行ったり、違反を繰り返したりする悪質事業者に対する抑止力強化にも重きを置いた。デジタル化や国際化の進展を受けた対応や、利用されていない返金措置の促進による消費者利益の回復なども求める。

 一方、課徴金の対象拡大、デジタル表示の保存義務、供給要件、ダークパターンの4課題は中長期の検討事項として整理する。

 法改正の目玉は「確約手続き」の導入になりそうだ。独占禁止法に導入されている司法取引の一種。法違反疑い行為の早期是正を狙ったもので、事業者が自主的な改善を確約し履行することの見返りとして、排除措置命令などの行政処分を行わない。

 これを景表法に導入することで、不当表示が疑われる行為を事業者が自ら改善することを一定の強制力を持つかたちで促し、消費者の自主的選択を損なう表示の早期是正を図る狙い。現行法の執行は、措置命令や課徴金納付命令を行う行政処分と、改善を要請するにとどめる行政指導の2つに限られる。確約手続きが導入されれば、処分と指導の中間的な手段が設けられることになる。

 報告書では、確約手続きの対象、確約計画の公表、返金措置の位置づけ、確約計画を履行されなかった場合の対応などについて、ガイドラインで明確化するよう求める。

 また、違反行為の抑止力強化を目的にした課徴金の割増算定率の適用については、違反行為を繰り返し行う悪質な事業者への適用を提言する。刑事罰の活用に関しては、直罰規定の導入を検討するよう求める。導入されれば、行政処分(措置命令)による課徴金と刑事罰による罰金の両方が課されることになる。

【石川 太郎】

(冒頭の画像:第10回検討会の冒頭。左から中川座長、河野太郎・消費者担当大臣、新井ゆたか・消費者庁長官)

関連資料:景品表示法検討会 報告書(案)

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