景表法検討会、報告書骨子案示す 早期検討課題に「確約手続き導入」など10テーマ
景品表示法の改正を視野に議論を進めている消費者庁の「景品表示法検討会」(中川丈久座長)は11月30日、9回目の会合をオンラインで開き、同庁表示対策課が取りまとめた報告書の骨子案について意見交換した。
骨子案には、早期の検討が必要な課題として、「確約手続きの導入」を筆頭に「課徴金制度における返金措置の促進」や「刑事罰の活用」、「適格消費者団体との連携」など10項目が盛り込まれた。法改正に向けた具体的な方向性が出そろったかたち。
意見交換を受け、一部項目に修文の必要が生じたものの、大筋としては、骨子案に沿ったかたちで報告書が取りまとめられそうだ。
議論の遡上に載せられていた課徴金の対象拡大(おとり広告など指定告示に関する表示も対象に加えるかどうか)、デジタル広告の保存義務、供給要件の見直しなどは、「中長期的な検討課題」として取り扱うこととし、早期の対応は見合わせる方向。
供給要件の見直しでは、現行法では供給要件を満たさないため規制の対象外となるアフィリエイターなどを規制対象に加えるべきか検討されていた。
事業者の自主的取組促進と不当表示の抑止力強化
報告書骨子案では、社会状況や現行法の運用状況などを踏まえ、現行の景表法をめぐる検討課題の大枠を、1.事業者の自主的な取組の促進および悪質な事業者に対する抑止力の強化、2.デジタル化・国際化の進展への対応、3.返金措置の促進を含めた消費者利益回復の充実、4.消費者庁と適格消費者団体の連携──の4つに整理。
各項目に含まれる個別の課題の中から早期に対応すべき課題として、一定の法的強制力を持ちながら不当表示事案の早期是正を図ることを目的にした確約手続きの導入など全10課題をピックアップした。制度設計など具体的な検討は今後となる。
一部委員が反対する声を上げていた「刑事罰の活用」も早期の検討課題に盛り込まれた。骨子案では、「表示と実際にかい離があることを認識・認容しつつ違反行為を行うような、すなわち故意(罪を犯す意思)のある悪質な事業者が存在する」と指摘。そうした悪質な事業者に対応する目的で直罰規定の導入を検討すべきだとしている。
また、違反行為を抑止する方策として、課徴金の割増算定率の適用が早期の検討課題に盛り込まれた。不当表示を繰り返す事業者への適用が想定されている。
適格消費者団体との連携強化図る方向
さらに、現行法に基づく不実証広告規制に関し、適格消費者団体が表示の合理的根拠の開示を事業者に要請できるようにすることも早期の検討課題とされた。適格消費者団体が差止請求権を適切に行使できるようにする狙い。
ただ、「相当な理由がある場合に限って要請することができるとするなど適切に要請が行われることが望まれる」とも記し、事業者に配慮した。
適格消費者団体との連携をめぐっては、景表法に基づく処分を行うに当たって消費者庁が作成した書類を特定適格消費者団体に提供できるようにするとの方策も盛り込まれている。
次回、10回目の会合は、来月22日が予定されている。消費者庁は年内に報告書を取りまとめるスケジュールを示していて、最後の会合になりそうだ。
【石川 太郎】
(冒頭の写真:報告書骨子案の一部)
関連資料:第9回景表法検討会配布資料「報告書骨子(案)」
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