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景表法検討会、議論の方向性示す 工程表明らかに、10~11月取りまとめへ向けた議論 

 消費者庁は23日、第4回「景品表示法検討会」(中川丈久座長=神戸大学大学院法学研究科教授)をオンラインで開催した。これまでに行われた委員間の意見交換、識者からのヒアリングをもとに、悪質事業者には厳正に対処する一方で、自主的な早期是正のための措置を導入するなど、メリハリのある執行の実現、ステルスマーケティングへの対応などの課題に対して、今後、速やかに取り組むべき検討の方向性について整理した。

若宮大臣、「消費者利益の確保のための総合的な検討を」

 冒頭、若宮健嗣内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全担当)が挨拶した。景品表示法は1962年に制定・施行され60年が経過した。若宮大臣は、「デジタル化や国際化の進展など、同法を取り巻く社会環境が大きく変化したことなどを踏まえ、消費者利益の確保を図る観点からの総合的な検討が求められている。時代の潮流なども見据えつつ、消費者がより安心して消費生活を営めるように、今後の検討の方向性を示していただきたい」と述べた。

検討課題を4つの枠組みに整理

 これまでの議論を踏まえ事務局から、①効率的かつ重点的な法執行の実現、②デジタル化等の社会状況の変化への対応、③消費者利益の回復の充実等、④中長期的な検討課題の4つの枠組みに課題を整理した今後の検討の方向性案が示された。

 具体的には、①において、違反行為を繰り返した事業者に対する課徴金算定基準の割り増しを踏まえた設定、消費者個々の契約における損害の防止を目的とした特商法との連携を行うなど、悪質事業者への対策が盛り込まれた。一方で、独占禁止法で導入されている、独占禁止法違反の疑いについて、公正取引委員会と事業者との間の合意により自主的に解決する仕組みである確約手続(改善計画)など、自主的な早期是正・再発防止する措置の導入について検討するとした。
 これに対して委員からは、消費者庁や自治体だけでなく、相談を受ける消費生活センターなどの現場にも、違反広告に対する合理的根拠の提出を求める権限を与えるなど、より実態に合わせた体制づくりを求める意見があった。

国外企業による違反への対応も

 ②においては、インターネットの進展によるボーダーレス化が進んだことで、海外の企業が日本の一般消費者に対して不当表示を行うケースがあるという報告を踏まえ、書類送達規定の整備、海外当局との強力のための仕組みなどの国際化への対応、広告であることを明示しない広告である「ステルスマーケティング」など消費者が誤認する恐れのある表示への対応、③として、確約手続、課徴金制度に関わる電子マネーなどの活用も踏まえた自主返金制度などによる消費者利益の回復策、都道府県や特定適格消費者団体などの連携など、執行体制の整備・連携について検討するとした。

 これら①~③について、独占禁止法など他法令も参考としながら、速やかに検討を進め、年内を目途に取りまとめを行うとした。

次世代のための中長期的な対策も

 ④については、中長期的な検討課題として、「供給主体性」と「ダークパターン」を挙げた。「供給主体性」とは、事業者が景品表示法の規制対象となるために必要とされる要件。事業者が問題となる商品・役務を供給していること(供給主体性)が認められなければ、現行法では規制できない。「ダークパターン」とは、消費者を不利な決定に誘導する表記サイト設計を指す。具体的には、在庫の少なさを強調する「あおり」や特定のボタンを目立たせる「誘導」など。
 「供給主体性」という名称について委員からは、「一般的には供給をメインで行うという意味として捉えられがち。通販モールなどの出店事業者だけでなく、プラットフォーム提供事業者、アフィリエイターなども含める必要を考え、「供給要件」、「供給者」のような名称の方がより現実的」との意見があった。

違法デジタル広告の証拠提出に課題
 
 別の課題として、デジタル広告が主流になりつつある中、デジタル広告の保存に関する課題が上がった。新聞広告や折込チラシと違い、デジタル広告はその保存が難しい。また、広告出稿者が商品を販売する事業者だけでなく、代理店やアフィリエイターなど多岐にわたるケースも多い。その全てに広告保存義務を課すというのは現実的ではない。悪質と認定するその基準を設け、認定された事業者に、一定期間のログ保存義務を課すなどの対策も求められるとした。

年内の報告書取りまとめを目指す

 これらの検討事項について、7月~9月ごろに関係者・専門家などからヒアリング、議論を数回行い、10月~11月ごろ、それまでの議論の整理、報告書案の検討を行う。最終的に、年内を目途に報告書の取りまとめを行う予定としている。また。専門・技術的な事項を審議・検討する必要がある場合は、臨時委員の委嘱、ワーキンググループの設置も行う。

【藤田 勇一】

(冒頭の図:検討会事務局が提示した工程表)

関連記事:景表法検討会、課徴金と確約に注目 独占禁止法の制度、公取からヒアリング

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