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薬理学雑誌に「無処置対照試験」論 唐木東大名誉教授の論稿が「最近の話題」に

 (公社)日本薬理学会(東京都文京区)が発行する『日本薬理学雑誌』11月号(第158巻第6号)の“最近の話題”に、東京大学名誉教授で食の信頼向上をめざす会代表の唐木英明氏の論稿が掲載された。「機能性表示食品のプラセボ対照試験の問題点」というタイトルで、機能性表示食品制度におけるプラセボ対照試験の欠陥と無処置対照試験の特徴について論じている。

 同氏は従前から、機能性表示食品の届出において、無理に有意差を出そうとするために統計のごまかしが行われ、不適切な論文が増えていると指摘してきた。それは機能性表示食品が医薬品とは違い、「被験者が健康な成人であるため、薬物効果は小さくこれに比べてプラセボ効果が大きい。そのため疑似的にも相加性は成立せず、その結果、差分として得られる薬理作用は小さく、時にはゼロになる。これが不適切な論文の背景になっている」(同稿)と説明している。

 論稿の中で同氏は、プラセボ以外の対照試験の可能性を示している。厚生労働省の課長通知「厚労省医薬審発第136号(平成13年2月27日)」では、実薬対照と無治療対照が提示されていることを紹介し、「機能性表示食品では有効性が確立している実薬はほとんど存在しないため実薬対照は現実的ではなく、残るのは無治療対照になる。機能性表示食品の目的は治療ではないので、これを無処置対照と言い換える」と、命名の根拠を述べている。

 バイアスのかかった真実とかけ離れた不適切な論文の解消には「試験法の見直し」が必須とする中、その最大の障害についても言及している。
 「最大の障害は食品業界にも監督官庁にも薬理学の専門家が少なく、食品分野独自の判断が困難なこと」と主張。機能性表示食品の健全な発展には現実的な試験法を確立することが必要であり、そのために「日本薬理学会の支援が望まれる」と結んでいる。

(冒頭の画像:日本薬理学雑誌11月号の表紙を加工転載)

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