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日常的なチーズ摂取の効果を解明 特定の地域在住の日本人高齢者を対象に疫学研究

 ㈱明治(東京都中央区、松田克也社長)はこのほど、日常的なチーズの摂取が認知機能の高さと関わることが特定の地域在住の日本人高齢者を対象とした疫学研究により判明したと発表した。桜美林大学(畑山浩昭学長)と地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(鳥羽研二理事長)との共同研究。同研究成果は、7月18日に国際学術誌Nutrientsに掲載された。
 
 東京都板橋区在住の65歳以上の日本人高齢者男女を対象に、対面でのアンケートや機能的能力測定を行い、食品摂取や日頃の生活習慣、身体状態と認知機能の関係を評価する横断研究を実施した。同社によると、同研究は、2019年に実施した健康診断の結果を基に分析したという。

 チーズ摂取と認知機能に関して欠損のないデータが取得できた1,504人について、MMSE(Mini-Mental State Examination)スコアが23点以下を認知機能低下(LCF)として分類し、解析を進めた。
 さらにロジスティック回帰分析の手法を用いて、LCFと関連する因子を分析。分析にあたり、チーズの摂取状況、年齢、身体機能、体格要因、既往歴、血圧、歯の残存本数、血液変数、尿失禁の頻度、牛乳の摂取頻度、食事多様性スコアの影響を統計的に調整した。

 研究の結果、チーズ摂取者(週に1回以上チーズを摂取する人)は、チーズ非摂取者と比較して通常歩行速度が速く、歯の残存本数が多く、血中の善玉コレステロール(HDLコレステロール)が高い値を示した。またチーズ摂取者は、チーズ非摂取者より牛乳を摂取している人の割合が高く、尿失禁の頻度は低く、さらに認知機能を評価する指標であるMMSEのスコアが高い値を示したという。
 チーズ摂取と認知機能に関して欠損のないデータが取得できた1,504人についてMMSEスコアが23点以下を認知機能低下(LCF)として分類した時、LCFに該当する人は調査対象者全体の4.6%程度(69人)を占め、この集団はMMSEスコアが23点よりも高い高齢者の集団と比較してふくらはぎの周囲径が小さく、通常の歩行速度が遅く、貧血の頻度が高いことが分かった。
 またロジスティック回帰分析の結果、LCFと関連する因子として、チーズの摂取状況、年齢、通常歩行速度、ふくらはぎの周囲径が重要であることが示されたという。

 同研究の結果から、特定の地域在住の日本人高齢者において、チーズの摂取は認知機能の低さと逆相関を示すことが明らかになったとしている。

【補足】この研究では、2 つの異なるコホートの横断データを分析した。コホート 1 は、2019 年の追跡調査に参加した前回の17 年のコホート (詳細は下記を参照) の 759 人で構成されていた。19 年の調査からのこのコホートのデータが、この研究の横断データとして使用された。コホート 2 は、19 年に新しいコホート調査に参加した 757 人で構成されていた。被験者の総数は 1516 人だった。2 つのコホートの採用プロセスは以下のとおり。
〇コホート 1 : この横断研究では、東京都健康長寿医療センターで実施された人間ドック「おたっしゃスタディ 2017 コホート」に参加した被験者のコホートからのデータを利用した 。東京都板橋区に住む65歳以上の高齢女性は、17年に住民基本台帳(n =6788)を使って募集された。別のコホート研究に参加した女性422人を除いた後、6,366人の候補者に招待状を送った。17年には合計1,365人の女性が健康診断に参加した。このうち759人(55.6%)の女性が19年に追跡調査を完了した(17年にベースライン調査、2年ごとに10年間の追跡調査)年)。
〇コホート 2:この研究では、東京都板橋区の東京都健康長寿医療センター近くの 18 地区からボランティア参加者を募集した。19年に、この地域の住民基本台帳に登録されている75歳から85歳までのすべての個人の名前と住所が抽出された(n = 4233)。他のコホートに登録していた参加者 88 人を除外した後、4,145 人の候補者に招待状が送られた。合計757人(男性275人、女性482人)がこの研究に参加した(2019年のベースライン調査と10年間にわたる年1回の追跡調査)。(以上、論文より一部引用)

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