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新たな死亡疑い発覚後、初の会合 消費者委食品表示部会、内閣府令改正案めぐる審議を本格化

 小林製薬「紅麹サプリ」事件を受けた機能性表示食品制度の見直しに絡み、消費者委員会の食品表示部会(今村知明部会長=奈良県立医科大学公衆衛生学講座教授)は1日、機能性表示食品を規定する「食品表示基準」(内閣府令)の一部改正案を審議した。

 同部会は先月から、消費者庁の審議官や担当課らを交え、同庁が取りまとめた制度改正案に関する議論や意見交換を行う会合を開いており、会合はこの日で3度目。同事件をめぐり、新たに76人の死亡疑い事例を小林製薬が把握していたことが明らかになった直後、基準改正案に関する審議を本格的に始める流れになった。

部会委員、「小林製薬には全く届いていなかった」

 この日の会合の冒頭、今村部会長は、「社会的にもこの問題に対する関心がさらに高まっていると思う。今回の制度改正で、機能性表示食品の安全性が確保されるのか、社会不安が払しょくされるのかを考えていく必要がある」と述べ、食品表示基準改正案をより慎重に審議したい考えを示唆した。

 また、部会委員の森田満樹・(一社)Food Communication Compass(フーコム)代表は、先月28日になって初めて76件の死亡疑い事例が報告されていることを明らかにした小林製薬の対応について、「(機能性表示食品を巡る)検討会などで、因果関係がはっきりせずとも速やかに報告するように言われてきたことが(小林製薬には)全く届いていなかった。(健康被害情報が)全く報告されていないかったことに大変驚いている」と語った。

 部会委員からは、小林製薬の度重なる報告遅れを受け、健康被害情報の一刻も早い報告と周知を求める意見があがった。

 中田華寿子部会長代理(アクチュアリ㈱代表取締役)は、「今回のように国民の命に関わる緊急性とリスクの高いケースでは、一刻も早い被害情報の報告と国民への周知が必要だ」と述べ、食品表示基準改正案(別表27)に盛り込まれた、健康被害情報の都道府県等への報告に関する「速やかに」規定には解釈の余地があると指摘。「解釈のあいまいさが報告遅延につながらないか懸念がある」とし、報告期限を具体的に規定するよう求めた。

消費者庁、制度見直し後の容器包装表示を例示

 食品表示基準改正案は、消費者庁が、有識者検討会の提言などを踏まえて先月27日までに取りまとめ、消費者委員会に諮問。食品表示部会は今後、答申に向けた審議を進め、審議結果を消費者委員会本会議に申し送り、本会議で最終的な決定を行う道筋を整えていくことになる。

 消費者庁は、改正した食品表示基準を9月1日にも施行する方針。同基準の改正と、内閣府令の委任を受けた告示によって、制度の法的な基盤を強化し、通知(届出ガイドライン)ではなく法令に基づく制度運用に移行させる考えだ。現在、食品表示基準改正案に対するパブリックコメントも行っている。

 消費者庁はこの日、食品表示基準改正で見直す、機能性表示食品の容器包装(商品パッケージ)における義務表示について、機能性関与成分の研究レビューを表示する機能性の科学的根拠とする場合を例に、基準改正後のパッケージ表示を例示してみせた。

 それによると、機能のあることが「報告されています」の文言を必ず記載することを届出者に義務付ける方向で調整している。表示されている機能が、商品自体に認められていると消費者に誤認されないようにするための措置。その上で、「特定保健用食品と異なり、機能性及び安全性について国による評価を受けたものではありません」などといった注意喚起表示も義務表示とする考えだ。

 通知を主体に運用している現行制度では、「報告されています」の届出表示を省略し、機能性に関する文言を抜き出して表示する商品パッケージや広告が多くみられる。それらに対しては、景品表示法が禁じる優良誤認の観点からも是正を求める声があがっていた。消費者庁は、義務表示や表示方法の見直しに関わる基準も9月1日に施行し、2年の経過措置期間を経て、完全実施する方針を固めている。

【石川太郎】

(冒頭の写真:1日開催された消費者委員会食品表示部会の様子)

関連資料:「食品表示基準改正案」(政府サイトへ)
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