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新たな機能性脂質「ペンタデシル」 特徴に小胞体ストレス軽減機能、どんな素材?

 「ペンタデシル」と名付けられた機能性脂質を含む素材の提案が今夏に始まった。微細藻類から取り出したもの。この脂質には、小胞体ストレスを軽減する働きのあることが確認されているという。ペンタデシルとは何か。具体的にどのような食品機能性を期待できるのか。素材開発した企業に取材した。

 この機能性脂質含有オイルを開発したのは、㈱シー・アクト(東京都千代田区)。有機溶剤の再資源化事業や天然資源利用事業を手がけるリファインホールディングス㈱のグループ会社。天然物から得られる健康食品・化粧品向け機能性素材の研究・開発、販売を行っている。設立は2014年。

 同社は今夏、微細藻類の一種、オーランチオキトリウムが産生する油脂(脂質)を抽出したオイル状の健康食品向け原材料の販売を始めた。昨年から化粧品用途で販売していた原材料を食品用にしたもの。「新たな機能性脂質素材」として提案している。

 オーランチオキトリウムには、油脂を多く産生する特徴がある。このため、機能性脂質として知られるDHAやEPAといったオメガ3脂肪酸(不飽和脂肪酸)の供給源として利用されることもある。一方、同社が開発したオイルに規格(含有量30%以上)されているのは、オーランチオキトリウムが産生するオメガ3脂肪酸とは異なる機能性脂質だ。

 それが「ペンタデシル」。同社がオーランチオキトリウムから取り出すことに成功し名付けたもので、具体的には、奇数(炭素数15)飽和脂肪酸のペンタデカン酸を主な構成脂質とする、食品中に含まれるのと同じトリグリセライド脂質の一種。この脂質に、小胞体ストレスを軽減する働きがあることを見つけたという。

機能性表示、どこまで可能か

 小胞体ストレスとは、細胞内でタンパク質を合成する小胞体と呼ばれる器官に負荷(ストレス)がかかる状態を指し、小胞体内でタンパク質の合成が正常に行われなくなることで生じる。その状態が続くと細胞の正常な生理機能が妨げられ、その細胞が集まる組織に問題が生じる。ひいては身体全体に悪影響を及ぼすとされる。小胞体はあらゆる身体組織の細胞中に存在するためだ。小胞体ストレスの緩和をターゲットにした創薬を目指す企業もある。

 シー・アクトの坪井誠社長によれば、ペンタデシルに小胞体ストレス軽減機能があることは、細胞試験の他、小胞体ストレスによる機能低下を生じさせたマウスなど生態系への経口投与試験で確認した。ヒトを対象にした試験も行っていて、肌のコラーゲン密度を増加させる働きを確かめた。生態系試験に加え、ヒト臨床試験でも、皮膚線維芽細胞が産生するコラーゲンが皮膚の真皮層中で増加することが確認できたという。

 「肌の細胞が小胞体ストレスを受けていると、コラーゲンを正常に産生する機能が低下する。だから小胞体ストレスを軽減してあげることで、肌の健康を総合的に維持できる可能性がある」と坪井社長。現在、肌に対する有用性を幅広く検証する臨床試験を進めている。

 また、血糖値の上昇を抑える働きがあるか検証する臨床試験も現在進行中だ。事前に行った生態系試験で、膵臓β細胞の小胞体ストレスを軽減させ、インスリン分泌を正常に戻す働きを確認できたとう。ヒトに対しても同様の働きが発現されるか確かめる。

 機能性表示食品対応素材として展開していく計画もある。現時点で実現可能性の高いヘルスクレームは、臨床試験が先行している肌に対する有用性だ。もし、作用メカニズムとして小胞体ストレス軽減に関わる文言をヘルスクレーム内に盛り込めるのだとすれば、これまでにない機能性表示食品の開発につながる可能性がある。

【石川 太郎】

(冒頭の画像:機能性脂質「ペンタデシル」を産生する微細藻類オーラチオキトリウム。シー・アクト提供)

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