小林製薬問題、日弁連が会長声明 問題公表から3週間、安全性「緊急点検」報告期日迎える
小林製薬㈱(大阪市中央区)が消費者庁に届け出た機能性表示食品のサプリメント『紅麹コレステヘルプ』との関連が疑われる健康被害を同社が公表してから、きょう12日で3週間。機能性表示食品を届け出ている全ての事業者に対して同庁が求めた、安全性に関する緊急点検の結果報告期日もきょう迎えた。点検結果は、機能性表示食品制度の「今後のあり方」の検討材料にされる。
日弁連、「抜本的な改正、必至」
制度の見直しは不可避の情勢だ。制度を所管する消費者庁は、制度の今後のあり方を5月末までに検討するよう官房長官から指示を受け、今月1日、次長をトップとする庁内横断型の検討プロジェクトチームを発足し、論点整理を開始。その上で、外部の有識者で構成する検討会を開催することも決めた。早ければ来週から始まる検討会の議論を、今後の制度のあり方を検討する際の参考にするという。
「小林製薬に特有の問題であるはずなのに機能性表示食品の問題にすり替えられた」。ある健康食品業界関係者はそう憤る。ただ、今回の健康被害問題と、それに関連する連日の報道などによって生じた、「サプリメントは怖い。機能性表示食品は信用できない」の風評に苦しむ事業者の声をかき消すかのように、制度の見直しを求める声は強まる一方だ。
日本弁護士連合会は11日、「機能性表示食品による食品事故による会長声明」と題した文章を公表し、制度の「抜本的な改正」が「必至」だと訴えた。
これまでも、届出制を基盤とする機能性表示食品制度に対して否定的な意見を繰り返し表明していた日弁連は今回の会長声明で、機能性表示食品制度の抜本的な改正として、以下、4つの事項の実施を国に求めた。
① 国の監督機能確保のため、届出制ではなく登録制とし、安全性及び機能性の要件を満たさないことが明らかになった場合には国による登録の取消しが可能な制度とすること
② 事業者に対して十分な安全性及び品質確保の体制を整備すること並びに被害情報の公表及び行政に対する報告を義務付けること
③ 消費者庁による事後的監視監督結果が十分に情報開示されるようにすること
④ 同制度を食品表示基準の中に位置付けるのではなく、法律に直接の根拠を置くことを改めて求めるとともに、過去にも繰り返されてきた深刻な食品事故を踏まえ、食品事故の被害者救済制度創設を検討すること──。
今国会で連日、機能性表示食品制度の不備を追求している立憲民主党も同日、食品衛生監視・指導行政を所管する厚生労働大臣に対し、制度の見直しを求める申し入れを行った。機能性表示食品による健康被害の報告を義務化する法改正を、今国会中に行うよう要請したとされる。
こういったさまざまな意見を聞きながら、消費者庁は5月末までを目途に、制度の今後のあり方を示すことになる。検討会では、健康食品業界団体からもヒアリングを行うとみられる。
【石川太郎】
(冒頭の写真:小林製薬が先月29日に行った、2回目の記者会見の様子)