小林問題以降の撤回届出150件超 【機能性表示食品届出DB更新】先月29日から今月2日までに88件
機能性表示食品の届出データベース(DB)が5日、更新された。前回2日の更新時に公開された届出番号「I1293」以降の新規届出として、I1294からI1306まで11社13件(サプリメント7件、サプリ以外の加工食品6件、生鮮食品ゼロ件)が新たに公開。機能性表示食品の届出DB更新は通常、更新された旨が消費者庁のホームページ上で伝えられるが、今回に関しては今のところアナウンスがない(8日7時現在)。
撤回届出の件数がまた増えている。先月29日から今月2日までの土日を除く3日間で、少なくとも88件の届出が自主的に取り下げられた。小林製薬㈱(大阪市中央区)が販売する機能性表示食品との関連が疑われる健康被害を同社が公表(先月22日)した以降の撤回件数は、少なくとも累計で151件に上る。消費者庁は先月28日夜、届出後の機能性表示食品の健康被害情報の収集、評価、報告の実施状況の確認を求める事務連絡を全ての届出者に対して発出していた。
消費者庁長官、「届出DBは有効に機能」
機能性表示食品との関連が疑われる健康被害問題が生じたことを受け、届出DBの信頼性に疑念が生じる事態にもなっている。㈱東京商工リサーチ(東京都千代田区)が先月30日、届出全体のうち約15%の届出情報が、少なくとも半年以上、更新されていないなどとする調査結果を公表したためだ。調査結果は機能性表示食品制度に対して批判的に報じられ、NHKでは、「情報公開が企業の自主性に委ねられているために消費者が活用できるデータベースになっていないのが問題」だなどとする専門家の意見を伝えた。
しかし、実際に販売されている機能性表示食品の届出情報については原則、全てに関して現在最新の情報を確認できる。消費者庁の新井ゆたか長官は9日の定例会見で、「消費者が市場で入手できる商品については、情報が洩れなく掲載されている。いま手もとで購入したい商品について(届出情報を)確かめたいというのであれば、このデータベースは有効に機能している」と強調。科学的根拠から製造工場まで、機能性表示食品以外の健康食品では知ることのできないさまざまな情報を消費者が主体的に確認できる届出DBの有用性を訴えた。
消費者庁のホームページは現在、トップページから直接、届出DBへ辿り着ける仕様に変わっている。トップページの最上部に置く「注目情報・キーワード」の上部に、「機能性表示食品」と「機能性表示食品の届出情報検索」のリンクをそれぞれ設置。消費者向けのパンフレットや届出DBに飛べるようにした。
ヒハツ由来ピペリンに新規ヘルスクレーム
5日のデータベース更新では、既存の機能性関与成分に関して新規のヘルスクレーム(届出表示)が受付公開された。ヒハツ由来ピペリンについて、「加齢とともに低下する血管のしなやかさ(血管を締め付けた後の血管の拡張度)の維持に役立つ機能」を訴求するもので、PRISMA2020準拠のシステマティックレビューに基づき、大正製薬㈱(東京都豊島区)が届け出た。
【石川太郎】
4月の届出DB更新:【2日】東洋新薬、コラーゲンで新規ヘルスクレーム 腰の不快感軽減