「デジプラ官民協議会準備会」閉会へ
協議会設置へ向け運営方法を議論
5月1日から施行される「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」に向けて消費者庁は4日、今回が最後となる第5回「取引デジタルプラットフォーム官民協議会準備会」を開催した。法施行後、正式に組織される官民協議会の運営方法などについて議論した。
同庁は、関係行政機関、事業者団体、国民生活センター、地方公共団体、消費者団体、学識経験者その他の官民協議会が必要と認める者を構成員とし、年2回程度の開催。ただし、必要に応じて個別事案に対応するための意見交換などを行うという運営方法案を提示した。
構成員による取組状況の共有については、「取引DPFの取組状況(第3条に基づく措置等)の共有、「利用停止等の要請その他関連情報の共有」、「開示請求の事案・課題等の共有」について意見交換を行い、さらに法施行の状況について情報共有を行う。
さらに、取引DPFを取りまく事業環境の動向について勉強会を開催する。テーマは、「事業環境の動向、海外の制度・事例の共有」、「(CtoC、BtoCなどを含めた)デジタル化の進展を踏まえた消費者取引の動向・課題の共有」などとしている。
案に対して、委員からはおおよそ以下のような意見が示された。
事業者団体
「官と民が中心に実務的な観点から取引DPFを利用する消費者の利益のための取り組みを効率的かつ効果的かつ円滑に行うための情報交換を行いたい。頑張っているプラットフォームが報われるために、悪質なプラットフォームを消費者が使わないようにするためにはどうしたら良いかという観点を加えてほしい」
「議長という型苦しい職を置く必要はないのではないか。官民でやる協議会に学識経験者の役割のイメージが湧かない」
「実務的なことについて議論するのが大事。事務局は外部に委託して、事務連絡や議事録作成などを中立な組織に任せてもいい」
「構成員でない取引DPFの意見も聞く必要がある。悪質な事業者のモニタリングが重要」
「ウェブミーティングに限らず、メールやテキストによる意見交換、ノウハウツールによる情報共有も取り入れてほしい」
消費者団体
「迅速な情報交換を行うためには、年2回は少ないのではないか。小委員会レベルの意見交換会があればいい」
「悪質な事業者、消費者への周知という点で、取組事例を紹介するに当たり、ホームページ上で各プラットフォームの取組の一覧表などを上げてもらい、それを消費者団体がフォローするかたちを取る。それを常にバージョンアップさせていけばスピーディーな意見交換が可能になる」
「法的な見解、海外情勢を踏まえて取り組み状況や悪質な事業者への対処について評価をしてもらう意味で、学識経験者には参加してほしい」
「クローズな議論にならないようにするため、参加しない関係者の意見も組み上げられる仕組みが必要」
「官民協議会専用の見やすいページを消費者庁のHPに作ってほしい」
学識経験者
「年2回の開催では全く足りない。ワーキングの校正を考えて、幹部会議をいくつか作ってほしい」
「官民協議会に招いた問題のある事業者が来席しなかったり、ヒアリングシートに回答しなかった場合など、『無視した』という内容を公表してはどうか」
東京都
「地方公共団体といっても、法律上の権限、消費生活センターの設置状況、財政規模など多様になっているので、複数の地方公共団体に参加してもらいたい」
以上
消費者庁は今後、官民協議会の設置に向けて構成員の意見を参考に運営要領の作成を行う。同協議会は、早ければ5月中の開催を目指す。
また、「販売業者等に係るガイドライン」については、2月24日~3月25日まで意見募集を実施し、現在、意見を精査中。施行までにガイドラインを公表する予定。
【田代 宏】