原材料標準書 「業界全体で活用を」
CRN JAPAN 10年ぶり改訂 環境変化に対応
サプリメント・健康食品の原材料企業や受託製造企業が多く参画する業界団体の(一社)日本栄養評議会(CRN JAPAN、石原健夫理事長)は17日午後、非会員企業らも迎える形で、通算103回目となる勉強会をウェビナー形式で開催した。会の後半では、評議会内に設置した委員会が昨年中に作成した「原材料標準書」の紹介と解説を行い、「業界全体で活用していただきたい」と強く訴えた。
「項目集」の位置づけに
原材料標準書は、CRN JAPANが、「正しい原材料選択」を支えることを目的に、2004年に初版を発行していた原材料情報書の第7版に当たる。団体活動の中核を担う「安全と機能性検討委員会」が取りまとめたもので、新版から名称を「情報書」から「標準書」に改めた。
前の第6版が発行されたのは2011年。その後、機能性表示食品制度や原材料原産地表示制度、さらには健康被害報告の届出などが義務付けられた指定成分等含有食品制度が施行されるなど、この10年の間に大きく変化した、サプリメント・健康食品を取り巻く法制度や社会的ニーズに対応する必要性を受け、同委員会に設置した専門チームが中心となり、改訂作業を進めた。
旧原材料情報書は、CRN JAPAN内で使われることを前提にしていたが、新版の原材料標準書では大きく舵を切り、「業界全体で広く使っていただく」ことを念頭に作成。書式をそのまま使用してもらうのではなく、最終製品製造各社が独自に用意し、データベース上などで運用している原材料情報に関する様式をベースにしつつ、必要な項目などを切り出して使ってもらえるようにした。コンセプトそのものを「書式中の項目を使ってもらう項目集」に変えたという。
業界全体として「必要最低限の内容」
原材料標準書の内容としては、「今の時代に業界全体として必要な最低限の内容」とした。また、内容については(公財)日本健康・栄養食品協会、(一社)健康食品産業協議会の他、健康食品の安全性や品質管理を所管する厚生労働省の新開発食品保健対策室が確認。同対策室からも、原材料標準書の取り組みと内容について一定の評価が得られているという。
この日の勉強会で原材料標準書について解説した、同委員会の大曲泰史副委員長(原材料標準書チームリーダー)は、「半年ごとに内容の見直しを進め、業界全体で活用してもらうための活動を続けていきたい」と述べた。また、原材料標準書チームの活動に興味があったり、参加を希望したりする業界関係者に対し、遠慮なく連絡するよう呼びかけた。
勉強会 セラミド研究で著名な北大・五十嵐名誉教授が講演
なお、この日の勉強会の前半では、機能性脂質の研究者として著名な北海道大学の五十嵐康之名誉教授がセラミド(スフィンゴ脂質)について講演。機能性表示食品などサプリメント・健康食品の原材料として利用されている植物セラミド(スフィンゴ糖脂質)について、五十嵐教授らが進めているアルツハイマー病をターゲットにした研究に関するこれまでの成果などを伝えた。動物(マウス)に、植物(こんにゃく)セラミドを経口投与した試験を行ったところ、アミロイドβの沈着を減少させることが確認されたという。