厚労省、改正食品衛生法の各施策を説明(前)
<HACCP制度化、認証取得は不要>
厚生労働省は12日、改正食品衛生法に基づいて導入する各制度の説明会を都内で開催した。HACCP制度化をはじめ、営業届出制度、自主回収報告制度、指定成分等含有食品による健康被害情報報告制度の創設などを予定している。
HACCP制度化は今年6月1日に施行。1年間の経過措置期間を設け、来年6月1日に完全施行となる。施行へ向けて、都道府県では条例の整備、業界団体では導入手引書の作成を進めている。健康食品については、(公財)日本健康・栄養食品協会が導入手引書を作成し、公表している。
HACCP制度化により、原則全ての食品事業者は衛生管理計画を作成しなければならない。大規模事業者、と畜場、食鳥処理場では、HACCPに基づく衛生管理を実施。コーデックスのHACCP7原則に基づいて衛生管理計画を作成し、管理する。厚労省の担当課は「自主的な取り組みがポイントとなり、第三者認証の取得は不要」と説明した。
一方、小規模事業者では、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を実施する。業界団体の導入手引書を参考に、簡略化したアプローチによる衛生管理を行う。この場合、「特段の施設の整備などは不要」(厚労省)となる。
完全施行後には、食品衛生監視員が定期的な立ち入り時に実施状況を確認する。小規模事業者に対しては、手引書に基づいて指導する方針としている。
<食品リコール情報報告制度、厚労省・消費者庁の共管>
食品リコール情報の報告制度は、来年6月1日に施行される。事業者がリコールを行う場合、行政への届出を義務づける。これにより、国がリコール情報を一元的に収集・提供し、健康被害の発生防止に役立てる。消費者庁が所管する「アレルギー表示」なども安全性に関わることから、両省庁の共管で運用する。
報告の対象は、食品衛生法に違反またはその恐れがある食品。不特定多数に販売されたものではなくて容易に回収できる場合や、事業者間取引にとどまっている場合などは対象外となる。
事業者は厚労省のシステムにリコール情報を入力し、都道府県へ届け出る。都道府県は国へ報告。国が国民へ公表するという流れを想定している。「リコール担当部署が本社と異なる都道府県にある場合は、担当部署の自治体へ届け出ても構わない」(同)という。
リコール情報はクラス1~3に分類し、国民へ提供することを想定している。クラス1は、重篤な健康被害または死亡の原因となり得る可能性が高いケース。腸管出血性大腸菌に汚染された生食用野菜、ボツリヌス毒素に汚染された容器包装入り食品、発がん物質に汚染された食品などが該当する。
クラス2は、そうした可能性が低いケース。一般細菌数や大腸菌群などの成分規格不適合の食品などが該当する。クラス3は、健康被害の可能性がほとんどないケース。添加物の使用基準違反などが想定されている。
(写真:12日に都内で開催された説明会の様子)
(つづく)