制度見直しの次、サプリ規制検討へ 「規律が必要」制度整備の要求も
小林製薬「紅麹サプリ」事件を受け、機能性表示食品制度が大きく見直されることになった。「法令化」が見直しのキーワードであることを前号で伝えた。だが、制度の見直しで話は終わらない。事件の影響は今後、機能性表示食品以外の「サプリメント」にも波及していくことになる。どのような影響が及ぶのか。「その他のいわゆる健康食品」に逃れる道は塞がれているといえそうだ。
公表されたサプリGMP告示案、その中身とは
まずは前号を発刊した7月10日以降の、機能性表示食品制度改正をめぐる主な動きを押さえておく。
同月12日、機能性表示食品の定義や義務表示事項などを刷新するとともに、機能性表示食品である旨を表示できる要件や届出者の遵守事項などを新たに規定する、食品表示基準(内閣府令)改正案の是非を審議する消費者委員会食品表示部会の会合が開かれた。
同部会は6月6日以来、消費者庁幹部を交えながら、機能性表示食品制度の見直しをめぐる議論を進めていた。7月1日からは、内閣総理大臣が消費者委員会へ公式に諮問したのを受け、同基準改正案に関する審議を開始。同12日の都合4回目の会合で、改正案は妥当だとする意見を取りまとめ、非公開の会合も含めると「数十時間」(今村知明部会長=消費者委員会委員)に及んだ議論を終えた。後述するが、部会は当初から、機能性表示食品にとどまらない、「サプリメント」全体に対する強い問題意識を抱いていた。
この日の会合で、消費者庁が初めて公表した内閣府告示案がある。食品表示基準改正案の規定に基づき定め、食品表示基準の改正と同じ今年9月1日の施行が予定されている、錠剤やカプセル剤などサプリメント形状の機能性表示食品を対象にした「GMP告示」(以下、サプリGMP告示)の案だ。
告示の正式名称は、「機能性表示食品のうち天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の製造又は加工の基準」。「天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品」とはすなわち「サプリメント」を指す。
今年9月1日に施行され、段階的に実施されていく今回の制度改正の要諦の1つに、機能性表示食品のうち「サプリメント」について、GMPに基づく製造・品質管理を届出者に義務付けることがある。それと緊密な関係に置かれる法令がサプリGMP告示。届出者が遵守しなければならないGMPの基準を規定したものだ。告示案を見ると、第4条「届出者の責務」には、以下の2項が定められている。
1.届出者(中略)は、届出に係る天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品を製造等する者(中略)がこの基準に従って製造等を行うことを確保しなければならない。
2.届出者は、天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品の製造等に使用する原材料(機能性関与成分を含む原材料に限る。)について、製造者等が作成する製品標準書に記載した規格に適合したものが供給されることを確保しなければならない。
注目したいのは下の第2項である……
(この続きは会員のみお読みいただけます。残り約6,500文字。続きは「会員ページ」の「月刊誌閲覧」内「Wellness Monthly Report」2024年8月号(74号)の特集「続・機能性表示制度とサプリの行方」から)
関連記事:制度改正の次には何が待つ? WMR74号オンライン版発刊
:制度改革、キーワードは「法令化」 届出者の遵守事項、内閣府令に定める