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制度見直しで運用にかかる費用増える 制度の今後、脇昌子・食品安全委員会シニアフェローに聞く

 特定保健用食品(トクホ)の安全性審査を行う内閣府・食品安全委員会の委員を6月末まで務めた内科臨床医(医学博士)の脇昌子氏(=写真)。健康食品との関わりは深く、2015年に同委が開催したワーキンググループの座長として、消費者に向けた「19のメッセージ」も取りまとめた。現在もシニアフェローとして同委への助言などを行う立場にある脇氏に、今後の機能性表示食品制度やサプリメント事業者に望むことを聞いた。(聞き手・文:石川太郎)

受益者負担も含めて考えるべきでは?

──機能性表示食品制度の見直しが議題になった第943回食品安全委員会(6月18日)で脇さんは、制度運用にかかる費用の負担を届出者へ求める仕組みに改めるよう消費者庁に迫りました。どういう意図だったのですか。

 受益者負担があって然るべきなのではないか、ということです。機能性表示食品を消費者庁へ届け出るにあたり届出者に費用負担はありません。無料です。一方で、行政には、届出資料の確認や事後監視などを行うためのコストがかかっています。それは小さなコストではないと思います。しかも、今回の制度の見直しでは、新規の機能性関与成分の安全性などについて専門家の意見を聴いたり、消費者庁として製造工場への立ち入り検査を行ったりといった新たな仕組みを導入しますから、行政コストのさらなる増大が見込まれます。行政への報告が義務化される健康被害疑い情報にかかわる因果関係の分析にしても、やはりそのぶんコストがかかります。

 そういった、機能性表示食品の制度を適切に運用するために必要なコストの全てを、国が国民の税金を使うかたちで負担するというのは、とても不合理だと思うのです。機能性表示食品の安全性を確かにするための費用を、非購入者の国民にまで求めるのですか?と。

 医薬品にしても、製造販売承認を受けるためには、最大数千万円の承認審査手数料や登録料を承認申請する企業が支払う必要があるのです。機能性表示食品とは本来、届出者が届け出る製品の安全性などを自ら確認し担保する義務を負うことを前提にし、行政の関与は届け出の受理などに限られていた制度です。届け出た商品を販売して利益を得るのは届出者なのですから、そうしたコストは、国ではなく届出者が負担すべきだと思います。そのように受益者負担の考え方を取り入れた制度に改めない限り、届出者が安易に機能性表示食品を販売したり、供給したりするインセンティブが高まる一方なのではないかと懸念しています。

機能性表示食品だから起きた問題だと考える

──食品安全委員会が、健康食品に関する「報告書」と「19のメッセージ」を公表したのは2015年12月です。同じ年の5月、機能性表示食品制度が施行されていたわけですが、報告書などを取りまとめるワーキンググループの座長を務めた脇さんとして、この制度をどう評価していたのですか。

 問題がある制度だと考えていました……

(この続きは会員のみお読みいただけます。残り約2,700文字。続きは「会員ページ」の「月刊誌閲覧」内「Wellness Monthly Report」2024年8月号(74号)の特集「続・機能性表示制度とサプリの行方」から)

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