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制度改革、キーワードは「法令化」 届出者の遵守事項、法的拘束力ある内閣府令に定める

 小林製薬「紅麹サプリ」事件を受け、機能性表示食品制度が施行10年目の節目に生まれ変わる。届出者が遵守すべき事項が法令化されて義務になる。また、医師の診断のある健康被害情報の報告義務など、新たな遵守事項がやはり法令で規定される。その影響は、「いわゆる『健康食品』」全体に及びそうだ。(石川太郎)

小林「紅麹」問題、制度見直しに至る

 3月22日夕の緊急記者会見に始まった小林製薬「紅麹サプリ」事件。健康の維持・増進に関わる機能をうたうことが許される制度上の食品に、複数の死亡疑いを含む腎疾患などの健康危害が大規模に報告され、社会的な事件になった。そのインパクトは、ヒ素ミルク事件やカネミ油症事件など、私たち日本人が昭和以降に直面した食品安全上の重大事件に匹敵するとも評される。

 そのように極めて不幸で残念な出来事を受け、機能性表示食品制度の在り方は、なかば強制的に見直され、再起動されることになった。「施行」という名の付いた起動ボタンは今年9月1日にも押される見通し。有識者らによって短期間のうちに見直しの方向性が示され、それを受けて政府が立案した制度改革策の一部は、即日実施される。

 被害拡大につながった可能性が強く指摘されている健康被害情報の報告遅滞、被害の原因になった可能性が推定されている原材料の衛生・製造・品質管理の不徹底──小林製薬「紅麹サプリ」事件の背景に横たわるそうした問題の再発抑止と、損なわれた制度への消費者からの信頼回復を同時に図る──現行制度に対する改革策の大きな方向性は、それを目指すものだと言える。「信頼性の高い機能性表示食品制度の構築」。政府が6月21日に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)には、そうした方針も盛り込まれた。

通知ベースの制度運用、法学者らが見直し提言

 機能性表示食品制度は具体的にどう改められるのだろうか。キーワードは、「法令化」だ。制度改革の方向性を確定させるために、消費者庁が4月から開催した有識者検討会(機能性表示食品を巡る検討会)。5月下旬公表の報告書には次の提言が盛り込まれている。

 「今回の機能性表示食品の在り方の法制的な着地点は、現行の機能性表示食品制度の運用が主としてガイドラインにより行われており、その違反に対して食品表示法に基づく指示・命令や立入検査などの必要な行政措置を講ずることができるかが必ずしも明確でないことを踏まえれば、(中略)ガイドラインの内容を必要に応じ見直し、法令(内閣府令または告示)に明確に規定することが適当である」

 ここで注目すべきは、現行制度の運用主体がガイドラインであること、そのため「必要な行政措置を講ずることができるかが必ずしも明確でない」と指摘している点だ。なぜ「明確でない」のか。答えは、ガイドラインは「通知」だからである。

 有識者検討会の座長を務めた法学者の中川丈久・神戸大学大学院法学研究科教授は取材にこう解説する。

 「通知は法令ではない。法令が規定しないことを通知に書いたところで、それは事業者に対する行政からのお願いに過ぎない。『お願いベース』であって、法的義務ではない」

(この続きは会員のみお読みいただけます。残り約6,720文字。続きは「会員ページ」の「月刊誌閲覧」内「Wellness Monthly Report」2024年7月号(73号)の特集「機能性表示制度とサプリの行方」から)

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