制度改正後、健康被害情報の状況は? 小林製薬、申し出複数あるも医療機関名を確認できず
機能性表示食品制度の改正に伴い、健康被害情報の収集・報告が届出者に義務付けられてから2週間余りが経過した。
制度改正の直接のきっかけとなった「紅麹サプリ」健康被害問題を起こした小林製薬㈱(大阪市中央区)。今月1日以降、同社で販売する機能性表示食品(紅麹関連製品以外)の購入者から複数の健康被害が申し出られていることが分かった。だが、被害を申し出た購入者が診断を受けた医療機関名を確認できない。そのため、厚生労働省の事務連絡(Q&A)を踏まえ、行政機関に「相談」する対応を取っている。
小林製薬は18日、取材に対し、改正制度が施行された今月1日から同17日までの約2週間に寄せられた健康被害情報について、医師から直接寄せられた情報はないものの、「お客様からご連絡頂いた、医師の診断を伴う同一症例は複数ある」と回答した。
しかし、17日時点で、いずれについても診断を受けた医療機関名を確認できていない。そのため、保健所や消費者庁への報告義務がかかる健康被害情報の対象からは外れる。ただ、出来る限りの対応を進めており、現在、「可能な範囲で、お申し出頂いたお客様に、医療機関名等の聴取を行っている」という。
機能性表示食品のほか、特定保健用食品に関する健康被害情報の報告義務を規定する直接の法令は、厚生労働省が所管する食品衛生法に基づく食品衛生法施行規則(省令)。規則では、国への報告を義務付ける健康被害情報について、「医師の診断を受け、当該症状が当該食品又は添加物に起因する又はその疑いがあると診断されたものに限る」と規定している。このため、医師による診断のある症例が、因果関係が不明な場合も含めて報告義務の対象となる。
一方で、小林製薬のように健康被害を申し出た購入者など消費者から医療機関名を確認できなかったり、医師から聞き取りを拒否されたりする場合も考えられる。そういった場合について厚労省は、「消費者が医師の診断を受けたと申し出ていれば、消費者から可能な限り情報を聞き取った上で、情報提供票の1枚目から5枚目まで記入し、都道府県等へ相談」するよう、法的な拘束力のない事務連絡(Q&A)を通じて事業者に求めている。
「現時点で、食品衛生法施行規則等の規定に基づき行政に報告している症例はないが、厚生労働省が公開しているQ&Aで示されている内容を踏まえ、行政に相談している事例はある」。小林製薬は取材に答えた。一方、消費者から申し出のあった健康被害情報の件数や申し出の内容については「回答を差し控える」とした。
【石川太郎】
(冒頭の画像:厚労省が作成した健康被害情報報告ルールのイメージ図の一部。厚労省公表資料より)
関連資料:「機能性表示食品等に係る健康被害の情報提供について」(厚労省ホームページへ)
:「機能性表示食品等に係る健康被害の情報提供に関するQ&A」(同上)