再配達をなくすための行動・投資が必要 第9回「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会
消費者庁は10日、8日に開催した「第9回『送料無料』表示の見直しに関する意見交換会」の資料を公表した。今回、消費生活アドバイザーの大石美奈子氏、主婦連合会の河村真紀子氏、(一社)日本消費者協会の河野康子氏、(公社)全国消費生活相談員協会の増田悦子氏が意見を述べた。
大石氏は、「送料無料」は個々の消費者にはうれしいサービスだが、実際にはモノも人もエネルギーを使い地球にも負荷をかけていることに鈍感になる。消費者が実情を正しく認識し、エシカル(倫理的)消費につなげるためにも、「送料無料」表示をやめ、少なくとも「送料は当社負担」など、「運ぶ・届ける」で発生する負荷を消費者が認識できる表現に改めてほしいと要望している。
河村氏は、「送料無料」表示は、運送代を誰が負担しているのか見える化すべきであると同時に、再配達を減らすなどの消費者の意識改革・行動変容は必要だと主張。しかし、送料表示や行動変容と、物流の2024問題で課題とされている下請けの運送事業者の待遇改善や労働力不足の解消とは別の問題として対策すべきとも主張している。
河野氏は、ECなどによる宅配便の物量がトラックが運ぶ荷物全体に占める割合は低く、宅配便と送料無料表示に焦点が向けられることで、本来、改善・改革が必要な企業間物流の課題解決が遅れることのないようにしなければならないと主張。また、無駄・無理のない物流に協力するために消費者ができることはたくさんあり、事業者にはこうした視点で技術導入・開発などサービス向上を目指してほしい、消費者に対しては、自分でできることを行動に移すことで2024年問題へ能動的に協力できるということを団体として広報するとしている。
増田氏は、「送料無料」表示をやめることで再配達がなくなることは無く、また、労働環境がすぐに改善されることは難しい。消費者への啓もう・啓発、ポイントを付けるなどの再配達をなくす工夫や宅配ロッカーや事前通知システムなどへの設備投資・導入支援など、今できることをすぐに実施することが重要だとしている。