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健康食品リスク管理、現状改善に本気 厚労省、健康被害情報の収集体制を強化(前)

 厚生労働省の有識者ワーキンググループが29日、健康食品の健康被害防止を目的にしたリスク管理の改善、強化に向けた具体案について検討を行った。健康食品との関連が疑われる健康被害情報の収集を強化し、集積された情報を踏まえて因果関係を詳しく分析できるようにするほか、被害情報に対する対応の流れを明確化し、食品衛生法に基づく緊急措置以外に「指定成分」候補として検討し指定する筋道も作る。また、寄せられた被害情報を厚労省に報告すべきか保健所が悩む場合も多いため、報告の要否判断を行いやすくするための確認シートを用意し、全国的に使用するなどの取り組みを進めていく方向だ。厚労省は今後、業界団体や自治体からも意見を聞くことにしている。

14年通知の改正視野、指定成分とのバランス取る

 健康食品の健康被害情報に対する対応指針は現在もあり、通称「14年通知」にまとめられている。健康被害の未然防止を目的に厚労省が平成14年(2002年)に定めたもので、正式名称は「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領」。
 ただ、同通知をめぐっては、有識者から「ほとんど機能していない」などと指摘されていたほか、健康食品のうち18年の食衛法改正で制度化した指定成分等含有食品に関しては健康被害情報の報告を義務付けるなどしているため、それ以外の健康食品に対する対応の違いが浮き彫りになっていた。

 厚労省は14年通知の改正を視野に入れている。同通知に基づく従前のリスク管理のあり方を見直し、改善や強化を図りたい考え。そのため、29日の「指定成分等含有食品等との関連が疑われる健康被害情報への対応ワーキンググループ」の会合では、食品基準審査課でまとめた、健康被害防止のための検討課題案を示し、健康被害情報の収集対象とする食品の範囲、健康被害疑い情報への対応、健康被害情報の報告の要否確認、健康被害情報の質向上に向けた報告フォーマット──などについて医学有識者による検討を求めた。

 対象範囲については、今回、生鮮食品の取扱いを主な論点に挙げた。厚労省は、指定成分等含有食品を除くいわゆる「健康食品」を、制度が制定されている機能性表示食品など保健機能食品も含むかたちで整理。形状による区別もしていないため、概念の上ではサプリメントから生鮮食品までが十把一絡げに健康食品として扱われることになる。

 そうなる背景には、健康食品の法的定義がそもそも存在しないことがあると言えるが、生鮮食品と「健康被害」は馴染まないこともあり、検討を求められた有識者らは「除外の方向で構わない」の意見で概ね一致。機能性表示食品として届け出されている生鮮食品が存在するものの、原則として健康被害情報の収集対象にしない方向で話を落ち着かせた。

 食品基準審査課では、「食経験の有無や天然の食品成分組成との相違を考慮」しながら情報収集を進めたい意向を示している。機能性(生理活性)を有する成分を配合したり、強化したりした保健機能食品を含む食品全般を、情報収集の対象に据えているとみられる。

(つづく)
【石川太郎】

(下の画像:厚労省が描く健康食品リスク管理の全体像イメージ。厚労省公表資料から)

関連記事:健康食品リスク管理、現状改善に本気 厚労省、健康被害情報の収集体制を強化(後)

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