健康食品の相談が減少、化粧品増加 SNSを介してトラブルに巻き込まれる若者も
政府は7日、2022年版「消費者白書」を閣議決定した。同白書によれば、21年に消費者庁に通知された消費者事故は1万4,941件におよび、前年(20年)よりも約3,500件増加した。内訳は、「生命身体事故等」が3,992件、うち重大事故等が1,500件、「財産事案」が1万949件だった。
消費生活相談件数は85万2,000件で、前年より約15万件減少。要因として、新型コロナウイルス感染症や架空請求に関連した相談の減少が挙げられるとしている。商品・サービス別で見ると、迷惑メールや不審な電話を含む「商品一般」に関する相談が最も多く5万7,420件(21年4月~12月)、「他の健康食品」は5番目に多く1万5,754件(同)だった。
ここでいう「他の健康食品」とは、国民生活センターがこれまでに分類している「高齢人参」、「クロレラ」、「ローヤルゼリー」、「プルーン」、「プロテイン」、「カルシウム剤」、「酵母食品」、「酵素食品」、「ビタミン剤」、「プロポリス」、「にんにく食品」、「きのこ粉末」、「深海ザメエキス」、「海藻食品」、「キチンキトサン」などを除いた食品を指す。
相談1件当たりの平均金額は増加
全相談の平均金額を見ると、請求された、または契約した「平均契約購入金額」が79万5,000円。実際に支払った「平均既支払額」は34万3,000円だった。65歳以上は減少したが、全体と65歳未満は前年と比べて増加した。なお、65歳以上の1人当たりの「平均既支払額」は、65歳未満の約1.3倍だった。
販売購入形態別に相談の割合を見ると、20年、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い増加した「通信販売」に関する相談の割合が、前年から1.3%減少し37.8%となった。それでも、65歳以上では引き続き「インターネット通販」の割合が増加傾向にある。
また、若年層を中心に、「通信販売」のうち「インターネット通販」に関する相談は減少しているものの、代わって、SNSをきっかけとした相談が増加傾向にある。
「定期購入」に関する相談が減少
通販における「定期購入」に関する相談は、20年まで増加傾向が続いていたが、21年は4万6,734件で約1万3,000件減少した。商品別に見ると、「健康食品」が前年比約2万2,000件減少し1万7,813件だったのに対して、「化粧品」は約1万件増加の2万8,161件だった。性別・年齢層別に見ると、全年齢層で女性からの相談が多く、特に40歳代~70歳以上の女性からの相談が多い。
定期購入であることを認識しないまま商品を購入するケース、解約条件をめぐる事業者とのトラブル、解約したくても事業者と連絡が取れないトラブルが発生している。
消費者トラブルの未然防止に向け消費者庁は、成人年齢の引き下げに伴い、特に若者1人ひとりのぜい弱性に対応した消費者教育、SNSやAIを活用した相談体制の整備と自己解決の支援などに取り組むとしている。
(冒頭の写真:令和3年版消費者白書の表紙)