個別申請された疾病リスク低減表示 消費者委員会、審議開始前に「考え方」議論
花王㈱やサントリー食品インターナショナル㈱、マルハニチロ㈱の3社が、先ごろ初の個別申請を行った特定保健用食品(トクホ)の「疾病リスク低減表示」について、内閣府・消費者員会の新開発食品調査部会と新開発食品評価第一調査会は3日、合同会議を開き、効果や安全性に関する具体的な審議を今後進めるにあたり、考え方をすり合わせた。
トクホ制度を所管する消費者庁の食品表示企画課も呼び、個別申請にあたっての要件や、海外における疾病リスク低減表示制度の規定などを聞き取った。桑の葉由来イミノシュガーに「2型糖尿病の発症リスクを低減する可能性がある」旨、茶カテキンが「メタボリックシンドロームの発症リスクを低減する」旨のほか、DHA・EPAに「歳をとってから心血管疾患になるリスクを低減する可能性がある」旨を保健の用途とする、これまでにない疾病リスク低減表示の許認可にかかわる審議に臨むこともあり、議論は熱を帯び、予定していた2時間を超えて続いた。
食品あるいは食品成分(関与成分)と、疾病リスクの低減を明確に関連づける疾病リスク低減表示は、トクホにだけ認められている食品機能に関する表示。2005年、1991年に施行されたトクホ制度に組み込まれ、これまでに累計12製品が許可されている。ただ、これまでに許可されたのは、規格基準があらかじめ定められている2つの保健の用途のうち、「カルシウムと骨粗鬆症」のみ。
また、規格基準が定められていない疾病リスク低減表示に関しても個別申請を行うことができたが、それが行われたことはこれまで一度もなく、また、規格基準がないだけに要件が明確に定まっているわけでもなく、トクホの効果や安全性について審査する消費者委員会の部会・調査会としても、手探りで審議を進めることになる。そのためこの日の合同会議は、今後、審議を進めていくにあたり、「(委員間での)考え方をすり合わせ、前捌きする」(受田浩之・新開発食品調査部会長)目的で開かれた。今回申請のあった3社3製品3関与成分以外にも今後、疾病リスク低減表示の個別申請が続いていく可能性も視野に入れていたとみられる。
仮に、今回申請のあったものが許可されるとして、具体的にどのような表示に落とし込まれるのだろうか。これまでに許可されている規格基準のある「カルシウムと骨粗鬆症」の疾病リスク低減表示を見ると、「この食品はカルシウムを豊富に含みます。日頃の運動と適切な量のカルシウムを含む健康的な食事は、若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆症になるリスクを低減する可能性があります」とされている。
この日の合同会議の模様は、消費者委員会のホームページ上で動画配信される。
【石川 太郎】
(冒頭の写真:3月3日に開催された合同会議の様子。公開のため、個別申請された3社3製品に関して公表以上のことが語られることはなかった)