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不当表示広告調査 学校と連携 
埼玉県 学生・生徒の報告受けて行政指導

 昨年7月から今年1月にかけ、埼玉県内の高校生・大学生が、インターネットやスマートフォン等の広告に不当表示がないかを調べ、その結果をもとに県は、表示の改善を求める行政指導を20事業者に対して行った。

次代を担う若者に「正しい知識」

 埼玉県では、2007年度以降、県内の学校と連携した不当表示広告調査を定期的に実施している。「次代を担う大学生、高校生が不当表示等に関する正しい知識を得ることにより、消費者被害の未然防止を図る」ことなどを目的にしたもので、今回の調査は2021年度分に当たる。

 調査内容は、インターネットやスマートフォンなどの媒体に掲載された商品・サービス広告のうち、「不当と思われる表示について、大学生・高校生の視点から広く情報を収集し、違反広告の実態を明らかにする」というもの。高校からは、さいたま市立浦和高校など6校、大学は城西大学薬学部医療栄養学科の1校が参加し、計1,353人から調査報告書が提出された結果、「不当表示のおそれがあると思われる」広告が計854件(271事業者)も集計されたという。

ネットとスマホに集中

 そのように思われた広告の掲載媒体を見ると、「インターネット」と「スマートフォン」が合わせて773件と全体の9割に上った。「新聞」は44件、「雑誌」は10件。

 また、商品・サービス別でみると「ダイエット」が352件、「美容」が261件と過半数を占め、やはり若い世代の関心が反映される形となった。「健康」が88件、「衛生用品」が59件、「筋肉増強」が52件などと続いた。

 県消費生活課では、こうした生徒や学生からの報告内容を精査した上で、うち20事業者に対し、表示の是正を求める行政指導を実施。同課によると指導を行った広告の商材としては、ダイエットや美容が多かったという。

過去には業務停止命令に至った例も

 生徒や学生から報告された表示事例のうち、不当表示のおそれがあると判断された事例を見ると、たとえばダイエットでは、「年齢や性別を問わず、最低でも5kg痩せられる」などといった表示があった。

 これに対して学生らは、「サプリを飲むだけで9割以上の人が痩せられるなら、世の中から肥満はとっくになくなっている」と突っ込みを入れた。また、筋肉増強に関し、「1日たった3秒の習慣でシュッと引き締まったカラダに」という表示に対しては、「サプリメントで体を鍛えられたら、ジムは要らないし、筋力トレーニングすら必要がない」などと切り捨てた。

 同課によると、学校と連携した不当表示広告調査を行う目的には、「県の是正指導を通じて、大学生、広告性が悪質事業者の是正に貢献し、社会を動かす力をもっていることを実感」してもらうこともあるという。

 一方で、過去には、是正指導にとどまらず、景品表示法や特定商取引法に基づく行政処分に至った例も。生徒や学生からの報告を端緒に、都内の通販事業者が県から措置命令や業務停止命令を受けた。

 同課によると、それ以降、不当表示広告をめぐる学校連携調査をもとにした行政処分事案は発生していない。

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