消費者庁は12日、機能性表示食品の届出データベースを更新し、昨年11月22日から同28日までに提出のあった24社27件（サプリメント15件、サプリ以外の加工食品12件、生鮮食品ゼロ件）の新規届出を一挙に受付公開した。

　2024年に入ってからのデータベース更新はこれが3回目で、累計59件が積み上がった。昨夏以降、新規届出の受付公開件数が落ち込んでいたが、強い回復の兆しが見られる。一方で、撤回届出も増加傾向。この日の更新では15件が追加され、累計の撤回件数が860件を超えた。

初の機能性関与成分にp-クマル酸

　この日の更新では、p-クマル酸とフェルラ酸を機能性関与成とするサプリメントの届出が受付公開された。p-クマル酸は、これまでにエキスの指標成分として届出があったが、機能性関与成分としての届出は今回が初。サトウキビクキエキスに含まれる両成分を機能性関与成分にしたもので、これまでにパラチノースの届出があるDM三井製糖㈱（東京都港区）が届け出た。

　届出表示は、「p-クマル酸・フェルラ酸は記憶力の衰えを感じる健常な中高年の方において加齢によって低下する認知機能の一部である記憶力（図形を認識してから思い出す力）や認知機能速度（複雑な視知覚情報を認識し、応答し、運動協調する力）の維持に役立つことが報告されています」。フェルラ酸も過去に届出があるが、最終製品の臨床試験を科学的根拠にしたもの。研究レビュー（SR）での届出は今回が初めて。

葛の花由来イソフラボンに新たな届出表示

　また、既存の機能性関与成分、葛の花由来イソフラボン（テクトリゲニン類として）について、「日常の身体活動による脂肪の分解を高める」旨の届出表示が受付公開された。同成分として初の届出表示。㈱東洋新薬（本部：佐賀県鳥栖市）がヒト試験を新たに実施し、SRを作成した上で届け出た。

　これまでに同成分は、「肥満気味な方の体重やお腹の脂肪（内臓脂肪と皮下脂肪）やウエスト周囲径を減らすのを助ける」、「日常生活活動時や運動時（3.5 メッツ程度のもの）のエネルギー消費（カロリー消費）を高める」、「日常の身体活動による脂肪の燃焼を高める」などといったヘルスクレームが届け出されており、届出件数は150件超に上る。届出表示が拡充されたことで、今後、件数がさらに上積みされることになりそうだ。

サンクト、新たにGABAを届出

　その他に、㈱サンクト（東京都江東区）からの通算2件目の届出が公開。前回のBCAA（バリン、ロイシン、イソロイシン）に続いて今回はGABAを届け出た。届出表示は、「GABAには日常の身体活動により、中高年の方の加齢に伴い低下する筋肉量を維持する機能が報告されています」。また、認知機能領域の機能性関与成分、ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩の届出が久しぶりに受付公開された。同成分の届出は、2022年8月以来。健康食品の通信販売を手がける㈱エフ琉球（沖縄県那覇市）が届け出た。

措置命令受けたアリュール、「破産手続開始決定」で撤回

　一方で、15件追加された撤回届出を見ると、昨年11月、消費者庁から景品表示法違反（優良誤認表示）で措置命令を受けていた㈱アリュール（東京都品川区）が、措置対象商品のサプリメント『スリムサポ』を含む2件を今月5日付で取り下げた。

　同社として全ての届出を取り下げたことになる。撤回理由については、昨年12月13日付で破産手続開始決定がなされた、などと説明している。同社は、高めのBMIを減らす機能を届出表示とする同商品について、「国が痩せると認めたサプリ」などと広告宣伝していたため、措置命令を受けた。

　その他、大麦由来β-グルカンを機能性関与成分として配合したサプリ以外の加工食品4製品の届出を、ネクスト㈱（東京都港区）が販売停止を理由に取り下げた他、キューサイ㈱（福岡市中央区）が『ハツラツQ10』などサプリ2製品を終売のため取り下げた。また、㈱東洋新薬が、GABAを配合した4製品について、販売予定がなくなったとして取り下げた。同4品は、制度施行初期の15年と16年に届け出ていたもの。他に6・30措置命令の余波を受けた撤回届出もみられ、オリーブ由来ヒドロキシチロソールを配合したサプリの届出を㈱セイユーコーポレーション（大阪市浪速区）が取り下げたという。

【石川太郎】

2024年1月の機能性表示食品届出DB更新
：【4日】東洋新薬、ガルシノールを届け出る　肝臓ケアの新規関与成分に
：【9日】今年2回目の更新、計32件が積み上がる　15社17件を受付公開
関連記事：機能性表示食品めぐる措置命令がまた　明らか優良誤認、「国が痩せると認めた」