ルスロの「ペプタン」、日本での動き 【コラーゲン特集】広がる用途、機能性表示も視野
ゼラチン・コラーゲンペプチドの製造販売で世界トップ企業と目されるのが、オランダを本拠地とするルスロ(Rousselot)だ。ゼラチンの製造販売を1891年に開始、コラーゲンペプチドは2000年代前半から始めており、国内コラーゲン市場の黎明期からその存在は知られる。コラーゲンペプチドの世界ブランド「ペプタン(Peptan)」の国内販売状況などを、日本法人のルスロジャパン㈱(東京都中央区)に尋ねた。
2008年から国内市場を支える
ルスロが日本で「ペプタン」の販売展開を始めたのは2008年。ユニテックフーズ㈱をはじめとする販売代理店を通じ、国内の主要コラーゲンペプチドメーカーとともにコラーゲン市場を支えてきた。
原料由来ごとに分子量の異なる2つの主要製品を用意。世界的に見て販売量が最も多いのは、コラーゲンペプチドの需要が大きく伸びている北米で多く使われる牛由来の製品だが、日本市場には、豚由来と魚由来を中心に供給する。
現在の生産拠点は北米・欧州・南米に計4カ所。需要の高まりを受け、2018年まで2カ所であった生産拠点を大きく広げた。日本市場向けの製品は、主にフランスとベルギーで生産する。
ここ3年のペプタンの国内販売状況を見ると、やはり、新型コロナ禍初年の2020年はインバウンド需要の大幅な落ち込みを受けて減少した。一方、21年以降に徐々の回復を見せたのも他の国内コラーゲンペプチド原材料事業者と同じで、「販売代理店が頑張ってくれたこと、(コラーゲンペプチド)用途が美容で定着しつつ、タンパク補給など用途が他にも広がっていることが大きい」とルスロジャパンのセールス&マーケティング部長は話す。
足元のコスト高を受け、値上げが避けられなかったのも同じだ。「そもそも(コラーゲンペプチドの原料となる)ゼラチンの価格が大幅に上がっているし不足している」と嘆く。
「ペプタン」以外にも、グローバルで販売を進めているコラーゲン関連製品がある。日本では昨年発売した、「Ⅱ型」のコラーゲンと、コンドロイチンなどのグリコサミノグリカンを含有する「コラーティクス(Colartix)」だ。
豚軟骨を原料にした抽出物で、関節ケアと運動機能をターゲットに開発したもの。「コラーゲンペプチドメーカーが軟骨抽出物を取り扱うのは珍しいと思う。(メーカーとしての)付加価値を高めていくために、Ⅱ型コラーゲンも展開していくことになった」(同)。
機能性表示対応、「慎重な検討が必要」
機能性表示食品制度への対応はどうか。ルスロもコラーゲンペプチドの機能性を検証するため基礎から臨床まで研究開発を進めており、これまでにペプタンの機能性として、肌や毛髪に対する美容関連機能や運動後の疲労回復機能などを明らかにして論文を発表。「作用メカニズムを解明するための研究にも力を入れている」(同)という。
今後、研究レビューを用意するなどし、届出サポートを手がけられるようにしたい考え。
「(研究レビューを用意しているかどうかなどの)問い合わせを受けていて、我われとしても対応する必要があると考えている。(ペプタンの有効性を検証した)RCT論文が存在するため対応は不可能ではない。ただ、外挿性など、慎重に検討しなければならないところもある」(同)といい、万全の体制を整えたうえで、ペプタンを機能性表示食品市場に広げていきたい考えだ。
【石川太郎】
<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都中央区日本橋本町4-14-7
URL:https://peptan.com/ja/
事業内容:ゼラチン・コラーゲンペプチドの輸入販売
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