ヤフー、広告素材1.3億件を非承認 22年度、根拠ない「No.1表示」が増えた
デジタルプラットフォーム「Yahoo!JAPAN」を運営するヤフー㈱(東京都千代田区)は2022年度(22年4月~23年3月)に、およそ1億3,000万件に上る広告素材を承認しなかった。同社が定めた基準に抵触すると判断。前の年度と比較して非承認件数に大きな増減はなかった。ただ、広告の入稿件数が増えているため、非承認広告素材の割合は減少したという。同社が13日、発表した。
広告素材とは、広告単体ではなく、広告のタイトルや説明文、画像、リンク先ウェブサイト、キーワードなどを指す。ヤフーが13日公表した「広告サービス品質に関する透明性レポート」によると、22年度に非承認とした広告素材約1億3,000万件のうち、非承認理由として最も多かったのは「最上級表示、NO.1表示」だった。
売上高や顧客満足度などの「No.1」をうたう広告をめぐっては、(一社)日本マーケティング・リサーチ協会が昨年1月、「調査対象者や質問票を恣意的に設定する非公正な調査」をうかがわせる調査が散見されるなどとして、そうした不正な調査を請け負う事業者を強く抗議する書面を公表していた。ヤフーでは22年度、前年度比で顕著に多い数の「最上級表示、No.1表示」を非承認とした。「客観的な根拠の表示のない広告が多い」と指摘する。
一方、「薬用化粧品(医薬部外品)、化粧品」に関する広告素材の非承認件数は前年度比で減少した。「大量の非承認広告を繰り返し入稿していた特定広告主による掲載基準への理解促進」を背景に減少したという。
リスティング広告(検索広告)の非承認広告素材については、「食品、健康食品」に関するものが多かった。ヤフーでは、「医薬品的な効能効果の表現や身体の組織機能の増強、暗示するものが多い」と指摘。それに次いで、「ユーザーに不快感を与えるような表現」が多かったという。ディスプレイ広告(バナー広告)に関しては、「薬用化粧品(医薬部外品)、化粧品」が多かった。特に医薬部外品について、「リンク先での使用体験談の表現があり、非承認となるものが多い」としている。
22年度の広告素材非承認件数を半期ごとに比較すると、下半期は約5,900万件となり、上半期の約6,700万件から減少した。大量の非承認広告を繰り返し入稿していた特定広告主による「掲載基準への理解促進が要因」という。また、化粧品に関する非承認は減少したものの、医薬部外品は「引き続き多い傾向」が見られたという。
ヤフーでは、掲載する広告について、アカウント審査と広告素材審査を同時並行的に行っている。
【石川太郎】
(冒頭の画像:ヤフーが13日公表した「広告サービス品質に関する透明レポート」の表紙)
〇関連資料:広告サービス品質に関する透明レポート(Yahoo!JAPANへ)
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