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フェムテック振興の旗を振る男性議員 【フェムテック特集】なぜ? サプリをどう見ている?(後)

 宮路拓馬氏。自由民主党の衆院議員。保守王国といわれる鹿児島を選挙区としながら、政策の筆頭に「女性の健康上の悩みの解消」を掲げる。自民党のFemtech(フェムテック)振興議員連盟(会長:野田聖子衆院議員)の事務局長でもあり、フェムテック関連製品・サービスに関する規制の見直しを政府に働きかけている。フェムテックを広げなければならない理由は何か、男性議員がなぜフェムテック振興を目指すのか。サプリメントに対する認識も含め、宮路氏の考えを伝えるインタビューの後編。

宮路 フェムテック振興議連は3つの柱(目標)を掲げています。①先端技術を使い生理期間を快適に過ごせる社会、②子どもを望む人が希望を実現できる社会、③社会・経済のリーダーとなる世代がより活躍できる社会──の3つで、②は不妊治療を含む妊活の支援、③は40代、50代の脂の乗り切った世代の更年期の諸問題を解決する、ということです。

 議連はこれから第3のフェーズ、機会損失も大きい更年期の諸問題について議論するフェーズにいよいよ入っていきます。私自身まだ勉強中なのですが、更年期こそ医療にしっかりアクセスすることで改善できるものであるようです。医療には、医師の診断が必ずともないます。そうしたしっかりとした診断のもと、あるいは、自分自身では把握することが難しい自分のからだの状態をテクノロジーでチェックしたり、アナライズしたうえで、更年期症状に対処するためのソリューションに自ら辿り着ける社会を作る必要がある。ソリューションとは、医薬品の処方であったり、生活習慣の見直しだったり。その1つとして、サプリメントも重要なファクターになると考えています。

時代に合わない規制は見直すべき

──そのように医療のサポートも受けたセルフケアを推進することで、社会保障費の増加抑制にもつながる、ということですね。一方で、サプリメントも規制を受けています。とりわけ表示の面で。そうした規制の見直しに取り組む考えはありますか。

宮路 そのような要望を受けたことがないので何とも言えません。ただ、時代に合わない規制によって必要なものを届けられないのだとすれば、その規制は変えていく必要があると思う。これまでも、フェムテック振興議連はレギュレーションの見直しに挑戦し続けてきました。例えば生理用品です。この50年、日本で生理用品といえばナプキンとタンポンだけでした。海外ではそれ以外の商品も展開されているにもかかわらず。一方で、それらを日本で展開しようとすると、そもそも基準やルールが存在しない。新しいものだからです。基準やルールを作るにしても時間がかかる。そうすると、新しいマーケットを作っていく役割を担うスタートアップ企業が参入できない。フェムテックにはそうしたプロダクトやサービスがさまざまあります。

 そのためフェムテック振興議連では、官民が連携し、それぞれの知恵を持ち合って、通常であれば5年とか10年かかるプロセスを2~3年に縮めることのできる世界を実現させようとしています。これまでに、生理用の月経カップや吸水ショーツのほか、妊活プロダクトの子宮口キャップについて一定の成果をあげています。

──フェムテック普及の壁になるレギュレーションとは、薬機法(医薬品医療機器等法)のことですか。

宮路 サービスに関して言えば、医師法です。オンライン診療などのオンライン系サービスはなかなか厳しい医師法のレギュレーションで規制されます。一方、プロダクトに関してはやはり薬機法。どちらも「岩盤規制中の岩盤規制」と呼ばれるもので、医療にかかわる規制のハードルはかなり高い。私は総務省で官僚を10年やっていたのでそのことを良く知っているから「これは1人では無理。世の中の動かすには仲間を募る必要がある。ならば議員連盟だ」となった。ただ、生理や更年期はこれまでほとんど議論されたことのないデリケートでプライベートなテーマ、かつ、全く新しい分野でしたから、議連をしっかり機能させるために、また、岩盤規制を相手に世論を盛り上げていくためにはさまざまな仕掛けが必要だろうと考えた。そこで、ご自身が不妊治療などを経験されていて、発信力も強い、野田聖子先生に会長就任をお願いしました。

──フェムテック振興議連の発足は20年10月。翌21年6月にはさっそく、政府が骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)に「フェムテックの推進」を盛り込みました。それをきっかけに日本でもフェムテックへの注目度が高まったと思います。

宮路 政府としてフェムテックの推進、つまり規制の見直しなどにしっかりコミットするのだ、という方針を明確に示しました。産業界にとって、ものすごく大きな出来事だったと思います。議連のメンバーも増えていきました。現在は20~30人といったところ。20年に開いた設立総会の出席者は、会長や私を除いて3人くらいでした。しかも、そのうち1人はフィンテック(FinTech)の議連と間違えてやってきたという(笑)。その方も現在は主要メンバーですが、当初のフェムテックに対する関心はその程度です。多くのメディアに取り上げてもらっていることもあって、女性の健康に対する社会の空気もだいぶ変わってきたように感じています。

──ありがとうございました。

(了)

【聞き手・文:石川太郎(2023年2月15日取材)】

プロフィール:1979年生まれ。鹿児島県出身。東京大学法学部卒業後、総務省に入省。内閣官房副長官補参事官補佐などを経て、2014年衆院選に旧鹿児島三区から出馬し初当選。現在3期目。第2次岸田内閣で内閣政務官に就任し、少子化対策、男女共同参画などを担当した。障碍者に対する性暴力問題、盲ろう教育・難聴問題などにも取り組む。政治信条は「多様で公正な社会を目指す」。

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