フェムケアサポート素材どれ選ぶ?
大豆イソフラボン ニチモウバイオが積極提案
女性の健康ケア素材として定番の大豆イソフラボン。その需要と市場を押し上げる可能性を秘めた「新語」が社会的な広がりを見せようとしている。ライフステージごとに変化していく女性の健康を巡る課題を解決する商品・サービスを総称する「フェムテック(Femtech)」や「フェムケア(Femcare)」だ。この潮流に乗って大豆イソフラボンの利用を各世代の女性に広げようと原材料メーカーが動き出している。
今月17日、「フェムケアサポート」をテーマにした業界関係者向けウェビナーを大豆イソフラボンの原材料メーカーが開催した。このメーカーは、フェムテックやフェムケアがここにきて注目されるようになった背景には、SDGs(持続可能な開発目標)の1つに掲げられている「ジェンダー平等の実現」があると指摘。その上で、企業などにとって「女性を支えるサービスやシステムの構築が社会的責務」になっているとした。
このウェビナーを開催したのは、独自の麹菌発酵技術でアグリコン化させた大豆イソフラボン素材「AglyMax(アグリマックス)」の製造販売を手掛けるニチモウバイオティックス㈱(東京都港区、天海智博社長)。講演を担当した同社担当者は、「女性特有の悩みや不調によって、仕事など社会生活を制限せざるを得ないと考える方も一定数いるのが現状」だとした上で、「女性のライフステージごとに起こる身体の不調に、トータルでアプローチできるフェムケア素材が大豆イソフラボンだ」と強調した。
女性の「お守りのような存在に」
イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに類似した構造を持ち、緩慢なエストロゲン様機能のあることが知られる。その吸収効率を高める目的で、通常は糖が結合されている大豆イソフラボン(グリコシド型)の糖部分を取り外したのがアグリコン型イソフラボン。
同社はこの日の講演で、女性に特有の身体的な不調や悩みは、ライフステージにかかわらず女性ホルモンの影響を受けていると指摘。それに対してアグリコン型イソフラボンには、エストロゲンの不足、あるいは過剰をそれぞれ抑える働きがあり、「ホルモンバランスの乱れで起こりがちな女性特有の身体状態を総合的にサポートできる可能性がある」などと解説した。
また、「大豆イソフラボンは、女性の生涯をサポートする『お守り』のような存在になり得る」とも述べた。そう言える根拠として、同社がアグリコン型イソフラボンの製造販売を開始した1999年以来、20年以上にわたり積み上げてきたエビデンスの一部を伝えた。
PMSから更年期まで「総合的にケア」
この日の講演によれば、大豆イソフラボンのフェムケアサポート機能は、PMS(月経前の不調)ケア、妊活サポート、更年期ケアの大きく3つに分けられる。そのため、女性のライフステージを横断する形で健康の維持・増進に寄与できる可能性がある。
3大機能のうち、同社製のアグリコン型イソフラボンは、PMSを除いてヒト試験で有用性が検証されてきた。例えば妊活ケアでは、妊娠を望んで胚移植した女性の妊娠率を高める可能性がヒト試験で示唆されている他、妊娠にも関わる子宮内膜症状の緩和に寄与できる可能性のあることが確認されている。
また、更年期ケアでは、米国で実施された更年期女性190人を被験者にしたRCT(ランダム化比較試験)の結果、更年期に特有のホットフラッシュ(ほてり)の頻度を抑えることが、プラセボ群との有意差をもって確認された。他に、更年期特有の不調を訴える女性を対象にした試験では、ストレスの軽減を始め、睡眠の不調や易疲労感の改善が認められた。他にも、更年期女性に多いといわれるデリケートゾーンの不調(萎縮性膣炎)に対する有効性がヒト試験で示唆されてもいるという。
同社は取材に、「今後はフェムケアをキーワードにアグリマックスを展開していきたい。これまでに積み上げてきたエビデンスを有効活用できるからだ」(天海智博社長)と述べた。「更年期に限らず、ライフステージ全体にわたって女性の健康維持に貢献できる強みが大豆イソフラボンにはある。関連産業とも連携しながらフェムケア市場にアグリマックスを広げていきたい」という。
【石川太郎】