ビフィズス菌に睡眠促進機能が示唆 雪印メグと名大、ショウジョウバエ対象研究で確認
ビフィズス菌のBA2786(Bifidobacterium adolescentis SBT2786)に睡眠促進機能があることを、名古屋大学(杉山直総長)と雪印メグミルク㈱(東京都新宿区、佐藤雅俊社長)がショウジョウバエを用いた研究で確認し、このほど研究成果をまとめた論文を学術誌の『Genes to Cells』に発表した。睡眠促進機能の一部は、インスリン経路を介したものである可能性がある、としている。インスリンは哺乳類に共通して存在するため、ヒトに対しても同様の機能を示すかもしれないという。
雪印メグミルクの発表(先月28日付)によれば、今回の名古屋大との共同研究でBA2786について分かったのは、加熱殺菌してもショウジョウバエの睡眠を促進すること、BA2786と同じ菌株であるBifidobacterium adolescentisに属するにもかかわらず睡眠促進機能の弱い菌株が存在すること、BA2786を摂取したショウジョウバエにおいてインスリン受容体の遺伝子発現が亢進していること、そのためBA2786の睡眠促進機能の一部はインスリン経路を介している可能性があること──などだという。
今後、BA2786の睡眠促進機能についてより詳細な調べを進めることで、インスリン経路と睡眠の関係の理解が深まると考えられる、としている。
同社と名古屋大は、2017年に産学協同研究講座「栄養神経科学講座」を開設し、睡眠をはじめとする脳や神経に関する研究を進めている。これまでにもショウジョウバエを用いた研究で、同社が保有する乳酸菌株のLactiplantibacillus plantarum SBT2227について、夜間における睡眠促進機能を見いだしていた。
今回の研究では、ヒトや食品などから分離された乳酸菌およびビフィズス菌のうち、睡眠促進機能が最も大きい菌株としてBA2786を選別したうえで、作用メカニズムなどを調べた。『Genes to Cells』に発表した論文のタイトルは以下のとおり。
Behavioral screening of sleep‐promoting effects of human intestinal and food‐associated bacteria on Drosophila melanogaster(キイロショウジョウバエにおけるヒト腸内細菌および食物関連細菌の睡眠促進効果の行動スクリーニング)。