故ジャニー喜多川氏による「人類史上最も愚かな事件」（ジャニーズ事務所・東山社長）、いわゆる性加害問題をめぐり、当事者であるジャニーズ事務所は9月7日、記者会見を開いて性加害の事実を全面的に認めた。会見後、同事務所とコマーシャル契約を結ぶ複数の企業が、今後、同事務所とのテレビCM契約の打ち切りを発表した。

　いち早く契約の打ち切りを発表した企業の中には、アサヒグループホールディングス㈱（東京都墨田区、勝木敦志社長）やキリンホールディングス㈱（東京都中野区、磯崎功典社長）などのヘルスケア業界に縁の深い企業も名を連ねていた。食と健康、美容に関わる企業で、同事務所のタレントをCMに起用している企業はざっと見たところ70社近くありそうだ。これらの企業が性加害の事実をどのように受け止め、今後、同事務所とどのように付き合っていこうとしているのか、ウェルネスデイリーニュース編集部は11日、関係企業への取材を開始した。

　ノンアルコールビール『オールフリー』のCMでSixTONESの松村北斗さんを起用しているサントリーホールディングス㈱（東京都港区、新浪剛史社長）は取材に対し、「ジャニーズ事務所に対して、ガバナンス体制の強化を含めた具体的な被害者の救済策や再発防止策を真摯に進めていくことを強く要望するため、11日に書面で申し入れた。被害者の救済策や再発防止策が充分であるとの納得いく説明があるまでは、ジャニーズ事務所との新たな契約を結ばない」と回答した。

　リポビタンD関連製品のCMで木村拓哉さんを起用している大正製薬㈱（東京都豊島区、上原茂社長）は、「事務所が過去と決別して新たなスタートを切るという点は感じられたが、性加害問題についてはメディアの関係も含めてさまざまな問題が具体的になっていないので、それらを速やかに具体的に対応されることを確認していきたいと思っている。タレントの起用については、それらの状況を踏まえて総合的に判断していく方針」と述べている。

　目薬のCMでSixTONESのメンバーを起用しているロート製薬㈱（大阪市生野区、杉本雅史社長）は、「現在、検討中」とした上で「当社はいかなるハラスメントも許容していない。先日の会見並びに新体制における今後の改革について、具体的な取り組み内容というものを注視して対応について検討したい」とした。

　『ウナコーワエース』のCMにKis-My-Ft2を起用している興和㈱（愛知県名古屋市、三輪芳弘社長）は、ジャニーズ事務所に関する事案は今のところ全て「ノーコメント」のようである。

　きのう放送のNHK「クローズアップ現代」では、同局の元紅白歌合戦の責任者や民法のプロデューサーらが出演し、反省の弁を述べていた。大手メディアにはびこるジャニーズ問題の根は広く、そして深い。編集部では引き続き、関係企業への取材を進める。

（つづく）

【田代　宏】

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