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サプリはプロフェッショナルの世界 「巡る検討会」構成員、合田幸広氏に聞く

 5月末に報告書を取りまとめた消費者庁「機能性表示食品を巡る検討会」は、機能性表示食品の安全性の在り方に重きを置いた議論を進めた。その中で、とりわけサプリメントの「品質」や「安全性」の確保に関する議論をリードしたのが合田幸広・国立医薬品食品衛生研究所名誉所長(=写真)。健康被害問題に対する受け止め、サプリの品質保証の在り方、そして「サプリメント法」の必要性などを聞いた。(聞き手・文:石川太郎)

最終的には「法律」がなければダメだ

──巡る検討会以前、消費者庁が開催した機能性表示食品に関する過去2度の検討会のいずれにおいても合田さんは委員を務めていました。今回の健康被害問題をどのように受け止めましたか。

合田 今回の巡る検討会が提言した「法令化」という方向性は過去2度の検討会になかったものです。法律という視点はほとんどなかった。それでも、過去の検討会で私は、天然物由来のプロダクツ(製品)の品質保証に関する専門知識を持つサイエンティストとしてできることを、できる限りやろうと考え、実行した。

 巡る検討会でも発言したとおり、品質保証とは、大きく3つの品質管理によって成り立っています。まずは製品設計。次にGMP、製造工程管理のことです。そして最終製品の検査。その3つの品質管理の全てを連動させながら回していくことで品質は初めて保証される。それが天然物由来プロダクツの品質保証の原則なんです。その中で、今回の小林製薬の紅麹関連製品に生じた問題は、その3つ全てに問題があったために起きた。品質保証の原則が破られてしまった。

 とりわけ、製品設計に問題があったと思う。機能性表示食品制度が作られる時に、菌によって培養された成分が届け出されるとは考えもしなかった。菌とは、乳酸菌やビフィズス菌などといったヒトの腸内に一般的に生息している菌ではないです。今回の紅麹菌のように、製造工程で予期せぬ成分を産生する可能性のある菌のこと。培養方法によっては他の菌に汚染されやすく、変異しやすく、品質管理が非常に難しい菌を用いて製造する製品の届出を規制しておかなかったという意味では、制度設計が間違っていたと言える。だとしても、GMPと検査のところで回避できた。しかし2つともなされていなかった。小林製薬の原材料工場はGMPで運用されていなかったし、GMP工場であった最終製品の製造業者のGMPでは、原材料受け入れ時の試験項目が十分ではなかった。さらに、原材料の検査にしても、液体クロマトグラフィー(HPLC)でモナコリンKの含有量を調べるときに、モナコリン以外の不純物をみることができたはずです。小林製薬はなぜ出荷してしまったのか。

──小林製薬はグンゼから紅麹事業を譲受する以前、菌を扱った経験がなかったと言われています。

合田 今回の問題の背景にはそれがあると思う……

(この続きは会員のみお読みいただけます。残り約2,600文字。続きは「会員ページ」の「月刊誌閲覧」内「Wellness Monthly Report」2024年8月号(74号)の特集「続・機能性表示制度とサプリの行方」から)

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