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コラーゲンペプチド、総合的対策素材 骨・関節・筋肉、運動後の疲労感軽減や筋力向上も

 タンパク質の一種。その認知がここにきて広がり始めている。ゼラチンを加水分解したコラーゲンペプチド。近ごろは、タンパク質補給用途の側面にも光を当てられる機能性食品素材となった。とはいえ、必須アミノ酸のトリプトファンが含まれず、アミノ酸バランスが良いとは決して言えない。しかしそれでも筋肉をはじめ骨や関節など骨格筋に対する有効性が報告されている。摂取したコラーゲンペプチドの機能が及ぶのは肌だけではない。身体的なフレイルの対策にも有効だ。

ニッピ、海外ジャーナルに論文発表

 今年6月、米国を拠点とする国際スポーツ栄養学会(ISSN)が発行するジャーナルに、コラーゲンペプチドの摂取によって運動機能が向上されると報告するヒト試験の論文が掲載された。運動後の筋肉痛や疲労感を軽減したり、運動後の筋力を向上したりといった結果が得られたとする。

 試験デザインは、無作為化クロスオーバー試験。男性20名(平均年齢50歳代)に試験に参加してもらい、1日あたり10gのコラーゲンペプチドの継続摂取(約1カ月間)が、運動(自重スクワット40回×最大5セット)後の筋肉痛、疲労感、筋力に及ぼす影響を調べた。その結果、運動直後に生じた筋肉痛は、プラセボ群に比べて、コラーゲンペプチド摂取群で有意に低い値を示した。疲労感も同様。筋力に関しては、運動負荷前との比較で増加していたほか、運動後3日目に、変化量として有意な増加を示したという。

 この研究を行ったのは、コラーゲンペプチドの製造販売で国内最大手の㈱ニッピ(東京都足立区)。試験に使用したコラーゲンペプチドは、通常のそれとは異なり、植物の生姜(ショウガ)に由来する酵素(ジンジベイン)でゼラチンを分解した特殊なもので、生理活性を持つことが分かっているコラーゲン由来のペプチド(トリペプチド)を高含有させている。製品名で言えば、「次世代型コラーゲンペプチド」として同社が提案している「ニッピぺプタイドCollagenomics(コラゲノミクス)」シリーズのうち「GFF-01」を使用した。

 この試験の結果を踏まえれば、特殊なコラーゲンペプチドが使用されたことを考慮に入れる必要はあるものの、コラーゲンペプチドのアミノ酸バランスはどうあれ、筋肉に対して一定のベネフィットを及ぼす可能性のあることがわかる。

筋力増加や骨密度上昇、膝関節の違和感ケア機能も示唆

 実際、文献上では、筋量・筋力に対するコラーゲンペプチドの有効性を報告するものが幾つか存在する。軽度サルコペニアの高齢男性が1日あたり15gのコラーゲンペプチド摂取とレジスタンストレーニングの併用を12週間行った結果、プラセボ群との比較で筋量が増加したと報告している(海外、2015年)。また、同様の摂取条件下で、若い男性の筋量増加を報告する文献(同、19年)があり、こうした複数の文献からも、コラーゲンペプチドは筋肉に対しても有効であることが示唆される。

 身体活動を支える骨に対しても同様だ。骨は、皮膚以上にコラーゲン含量が多いとされる組織で、ゼラチンの原料となることでも知られる。動物モデル試験の結果として、コラーゲンペプチドを摂取することで、骨密度の低下が抑制されたとする報告がいくつかある。ヒト試験も行われている。閉経後女性が1日当たり5gのコラーゲンペプチドを12カ月摂取したところ、プラセボ群に対して、背骨や大腿骨頸部の骨密度が上昇したとする報告がある(同、18年)。ニッピのGFF-01についても、今後ヒト試験での確認が待たれるが、骨芽細胞の分化促進作用が確認されている。

 関節に対しても有効性を示す。コラーゲンペプチドは、関節領域の機能性表示食品の機能性関与成分としても届出されており、膝関節の違和感で制限される日常活動をサポートするなどといった機能が訴求されている。骨・関節・筋肉──身体的なフレイルを対策するために機能の維持が求められる部位・器官に対して、オールマイティに有効性を発揮する可能性のあるのがコラーゲンペプチド。肌の健康だけにとどめおくのは勿体ない。

【石川太郎】

(下のグラフ:ニッピが論文投稿したヒト試験のうち疲労感VASの結果。同社の報道発表資料より)

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