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オーナー商法の放逐を目指す民間活動家にスポット~NHK

 ジャパンライフなどの悪徳商法の放逐に向けて人生を捧げる1人の民間人にスポットを当てたドキュメンタリーがきのう(12日)、NHKのBSテレビで放映された。タイトルは「目撃!にっぽん『執念の法改正~悪質商法VS 71歳~』。
 
<自業自得ではない 弱みにつけ込む奴らが一番悪い>

 悪徳商法被害者対策委員会会長の堺次夫(さかいつぎお)さんは若い頃、自ら悪徳商法にだまされたという過去を持つ。自分が何者かになりたいのに、進むべき道が見えない。そんな時期に化粧品を購入し、販売することで大儲けできるという悪質商法の被害に遭った。
 消費者団体を立ち上げた堺さんは、被害者支援の活動を続けるなかで、心に深く刻まれるある事件に遭遇する。17歳の高校生が自分と同様の手口でだまされた末、自らの命を絶ったのである。
 高校生が家族に残した遺書には、「八方手を尽くしたが、もう遅かりし、もう俺には金を作ることはできなく、死をもってお詫びしたく、こんなことをしでかして、のうのうとよう生きていられん。お父ちゃん、裏切って悪かった」と書かれていた。
 大きなショックを受けた堺さんはその後、今まで以上に悪質商法との戦いに執念を燃やすことになる。
 「これ本当に何とかしなければと強く思ったわけですが、よくね、世の中の人はね、自業自得なんだとおっしゃるんだけどね、そうではないということです。人間誰しもが持つ心の弱さ。そういったものに乗ってしまう。そういう人は悪いんじゃないんですね。だます方が悪いんです。これは」、「人間誰しもが持つ心の弱さというものがあるんです。そこにつけ込む奴らが一番悪いんです」
 堺さんは一語一語を噛みしめるように語る。活動を支え続ける信念の根底にある堺さんの心からの思いのようだ。

<ジャパンライフとの因縁>

 1975年当時、健康食品などの会社を経営していた山口隆祥被告(ジャパンライフ創業者)が参考人として国会に招致された。嘘の儲け話でだまされたという声が殺到していた。このとき、被害者の思いを代弁するために対峙したのが、消費者団体を作って2年目だった堺さんだという。
 35年前に健康食品を販売していた山口隆祥と国会で対峙する青年時代の堺さんの貴重な写真がテレビに映し出された。山口被告が33歳、堺さんが25歳当時の写真である。
 豊田商事による貴金属のオーナー商法、安愚楽牧場による和牛を使ったオーナー商法、そしてジャパンライフでは磁気治療器を使ったオーナー商法が被害を拡大させた。

 放送では、「一番信用した点はどこか?」と聞く堺さんに対して、被害者が「やっぱり桜を見る会かね。日本の国のトップを信用しなかったら、日本国民じゃない」と答えるシーンがある。
 ジャパンライフ事件では、同社が安倍前首相から届いた「桜を見る会」の招待状を利用して現金集めを行っていたことが問題視されている。番組ではパンフレットに「多額の金を受け取った官僚OBや大手マスコミOBなどが顧問として名を連ねていた。さらにオーナー商法に関わる法律を所管する消費者庁の元官僚の名前もあった」と紹介している。
 堺さんは、「何やってんだと、行政は、政府は、こんな現実があるのに分かってないじゃないかというぐらいの気持ちがだんだん生まれてくるわけですよ。悪い奴を擁護するために、一般の消費者を泣かせるということもあっていいのかと・・・」と憤る。

<執念実る 改正法が成立>

 また堺さんは、来年4月から成年年齢が引き下げられることにより、18歳の高校生にも被害が拡大するのではないかという強い懸念を抱いている。2度と同じ悲劇を繰り返さない。
 そのために、オーナー商法を業界から放逐するとの境さんの執念は6月9日、国会で成立した改正特定商取引法・預託法において実を結ぶことになった。改正法ではオーナー商法が原則禁止とされ、1年以内に施行されることとなった。
 ただし、デジタル機器に慣れているがためにトラブルに巻き込まれやすい若年者に対する被害防止策は具体的に盛り込まれることはなく、付帯決議で「実践的な消費者教育を強力に展開すると共に、若年者に対するクレジット・ローンの過剰与信を防止する業界の自主的取組の効果を検証し、必要に応じさらなる法的措置を検討する」と述べるにとどまった。

 堺さんは、「まぁ、残念ながら今回で全て終わったわけじゃないと思います。要するに悪徳商法は今後もきりがなく出てくると思います。それに対して、新しいものを作る。そしてその法律の効きが悪くて、いわば刀がさび付いてしまったら、それはやっぱり刀を磨ぐなり、よく切れるものにしなきゃいけないから、時代に合わせて行政の方も頑張ってもらうし、それから立法府もちゃんとフォローをしてもらいたいと思いますね」と前向きに捉えている。
 「どこまで行っても道半ばという感じがしますけどね。でもね、いつかは必ず報われる。報われることがあると思ってますよ。やっぱり悪が一時的に栄えるとしても、継続的に栄えることはないと思いますので。できるだけのこと、ほんの少しずつでもいいからやってみたい。この戦いは続けていきたい」と悪質商法の放逐へ向けた強い覚悟で結んでいる。

【田代 宏】

(冒頭の写真は番組とは関係ありません)

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