オムニカ、研究開発型の品質管理でリード(1)
(株)オムニカ(静岡県裾野市、高尾久貴代表)は2002年の創業以来、食品化学産業の製造・販売を営んできた。品質管理で重要な成分分析については、06年から自社で理化学試験設備を運営している。09年にはGLP準拠レベルの分析センターを設置し、品質管理のほか、性能管理、研究、開発、製品評価を開始。昨年始動した静岡県裾野市の新工場では、分析施設をさらに充実させて、原料抽出から販売製品の追跡品質管理まで一貫したサポートを行う。
<数十tサイズのタンク多数が接合する抽出プラント>
同社は昨年、静岡県裾野市に新工場を建設した。総敷地面積は約4,000坪。最新設備を設計に取り入れた抽出プラントで、抽出工程としての主製造から、抽出乾燥物の管理、累計微粉砕・均一化工程、錠剤カプセル等製剤への加工(一部外注)、バルク製剤の包装、販売製品の追跡品質管理までの一貫生産を行う。昨年12月に(一社)日本健康食品規格協会(JIHFS)の原材料GMPと健康食品GMPを取得した。
昨年8月、研究分析センターを新工場内に移転。10月には板橋工場と舟渡工場を閉鎖し、新工場に統合、本社も移転した。
正面を入った左手の建屋は、1階が製造管理室で2階が品質管理室。右手の建屋の1階は食堂を兼ねており、2階は事務室となっている。敷地内の正面奥に配置された抽出棟には、数十tサイズの調合、貯蔵タンク16本と抽出プラントが設置されている。
<成分は高いレベルで安定化>
高尾久貴社長は抽出に当たり、「天然だから品質がばらつくという言い訳をしない。そのばらつきをなくし、一定の組成にする技術がある」と話す。例えば、アントシアニンを有効成分とする商品が多数あって、アントシアニンとして摂取量が同じでも、有効性や安全性はそれぞれ異なることを本当は誰でも知っているという。
同社では、研究された成分の製造条件と同じ条件下で製造を行う。製造条件の1例として、「減圧を精密に制御して水沸点を22℃に保つ」、「酸やエタノールが置換される速度を固定する」、「比重の異なる液体を正確に秤量する」、「工程時間は常に固定する」などを挙げる。
こうすることで、結果的に品質の安定性を職人ではなく、マニュアルと習熟によって保つことができると説明している。高尾社長は「おそらく当社は、このような製品を作るなかで、一番高度な最新設備を使っている」と自信を見せる。
<精製能力は月産9t>
今のところ、過密な製造は行っていないものの、精製能力は1日当たり25tの原料を抽出できるため、約300㎏のエキスを精製、月に約9tの製造が可能という。業界トップクラスの製造能力を誇る。
通常のタンクがステンレス製であるのに対し、同社ではガラス製を採用。ガラス製にすることで、ステンレス製では行うことのできない製造条件による抽出が可能となる。
そのほか、ろ過装置、純化装置、蒸留・濃縮装置などは、ラボで研究された試料と量産成分、それぞれの関与成分の体内動態が同等に再現される。3年をかけて設計の検討が行われた装置という。臨床試験で示された性能を確実に担保することが、同社の方針だ。
(冒頭の写真:抽出棟、記事中の写真:数十tサイズのタンク)
(つづく)
【藤田 勇一】
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