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エビデンス入門(58) 獲得免疫と自然免疫

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科 准教授 竹田 竜嗣

 機能性表示食品では、免疫機能に関する表示として「樹状細胞の活性化」を免疫指標とした乳酸菌が受理されている。(特非)日本抗加齢協会は、2021年9月、「機能性表示食品の免疫機能性表示に関する検討会」を開催し、その結果を発表した。発表文書の中では、「獲得免疫」と「自然免疫」という用語が使われている。

 獲得免疫とは、一般的に生まれた時には持っていないが、後天的に持つ免疫のことであり、人が生きていく中でさまざまな病原菌やウイルス、アレルゲンなどの自己にはない異物を認識し、自身を守るために排除する機能を働かせる免疫反応を指す。
 獲得免疫は、非自己の物質を抗原として記憶し学習することで、初めて抗原と接触したときよりも、次に接触したときの方が早く反応し自己を防衛する反応を取る。体内では、リンパ球や樹状細胞、サイトカインが関与することが知られている。一方、自然免疫は生まれつき備わっている免疫であり、獲得免疫のように学習はないとされている。体内ではマクロファージに分化する単球、好中球、好酸球、好塩基球やナチュラルキラー細胞(NK細胞)が自然免疫に関与すると考えられている。

 このように、免疫反応は複雑で、自然免疫と獲得免疫それぞれの働きによって維持されている。一方、加齢によって免疫系の機能も低下していくことが知られている。加齢による免疫系の変化としては、非自己と自己を区別できなくなることがわかっており、自己免疫疾患と呼ばれる自己の細胞を攻撃することにより生じる疾患が生じやすくなることが知られている。
 また、自然免疫に関与するマクロファージは、細菌、がん細胞などの抗原を破壊する速度が遅くなることにより免疫反応が鈍化し、獲得免疫に関与するT細胞は、抗原に対する反応が緩慢になるといった免疫反応の老化が生じてくる。免疫反応の低下を老化現象と捉えると個人差はあると考えられるが、避けては通れない反応と考えることもできる。

 機能性表示食品の話に戻すと、免疫の表示が認められる条件としては、一部の免疫反応だけでなく、免疫全体を調節あるいは変化させていることを示す必要があるとされる。自然免疫と獲得免疫の違いにも注意しながら、免疫全体に作用することをどのように説明するかもヒントになるかもしれない。(参考文献:MSDマニュアル家庭版、プロフェッショナル版) 

(つづく)

<プロフィール>
2000年、近畿大学農学部農芸化学科卒。
2005年、近畿大学大学院農学研究科応用生命化学専攻、博士後期課程満期退学。
2005年、博士(農学)取得。近畿大学農学部研究員、化粧品評価会社勤務、食品CRO勤務を経て、2016年から関西福祉科学大学健康福祉学部福祉栄養学科。
専門は、農芸化学分野を中心に分析化学、食品科学、生物統計学と物質の研究から、細胞、動物試験、ヒト臨床試験まで多岐に渡る研究歴がある。特に食品・医薬品の臨床研究は、大学院在籍時より携わった。機能性表示食品制度発足時から、研究レビューの作成およびヒト臨床試験など多くの食品の機能性研究・開発に関わる。
 2023年1月 WNGが発信する会員向けメルマガ『ウェルネス・ウィークリー・レポート』やニュースサイト『ウェルネスデイリーニュース』で連載した「エビデンスの基礎知識」が100号に達したのを記念し、内容を改めて編集し直し、「開発担当者のための『機能性表示食品』届出ガイド」を執筆・刊行。

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