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エビデンス入門(55) 臨床試験における有害事象と副作用  

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科 准教授 竹田 竜嗣
                   
 臨床試験を実施した場合、有効性の評価とは別に安全性の評価も合わせて実施する。安全性評価では、臨床試験期間中に生じた被験者への医学的観点からの変化について、有害事象と副作用に分類する。

 まず有害事象とは、「臨床試験において、介入を受けた(試験品、プラセボ品問わず)被験者などに生じる介入と時間に関連した、好ましくないまたは意図しないあらゆる医療上の事柄」を一般的に指すことが多い。有害事象は臨床試験中に被験者に生じた医学上問題となる事象であり、感冒(かぜ)、腹痛、ケガなど、一見介入とは関係の無さそうな事象についてもいったん挙げていく。
 試験期間が長ければ長いほど、日常生活で起こり得る医学上の事象も発生する可能性もあるため、件数も多くなりがちである。食品の臨床試験では介入期間中の日誌などから情報を得ることが多い。有害事象は、介入との因果関係や、重篤度などを分類していく。この分類の中で介入との因果関係があるものを副作用として扱う。副作用は広義で有害事象の1つと考えることができる。有害事象の因果関係の判定については、介入との「関係不明、関係なし、たぶん関係なし、たぶん関係あり、関係あり」などのように判定される。

 日本においては、「関係なし」以外は一般的に副作用として扱うことが多いため、「たぶん関係なし」や「不明」も副作用として扱うことになってしまう。そのため、有害事象の判定の選択肢は増やさず、医師には因果関係が「否定できる、否定できない」程度で判定してもらうことで副作用かどうかは判定しやすくなる。

 また、重症度については、「有害事象共通用語規準日本語版」などで重篤度の判定基準や有害事象の用語などが共通化されている。これらの共通用語や判断基準を用いて判定することにより、臨床試験で生じた有害事象や副作用については客観的に判断することが可能である。
 有害事象は、日常生活を送れば偶然に生じる事象も含まれているため、有害事象の発生件数だけで介入の安全性を評価することは難しい。その点、プラセボなどを対照とした無作為化比較試験では、介入による有害事象の発生件数を統計的に比較することができる。介入との関連性が明確でない有害事象でも、群間で発生件数に差があれば、未知の有害事象の恐れもある。そのため、安全性を評価する上でも無作為化比較試験の方が、得られる情報は多いと考えられる。

(つづく)

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