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エビデンス入門(49) 機能性表示食品の届出後の分析・品質管理

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科講師 竹田 竜嗣

 機能性表示食品には、機能性関与成分やエキスを機能性関与成分とする場合の指標成分などを届出後も分析を行うなどの自主的な品質管理が求められている。分析実施のタイミングは届出事業者に任されているが、多くの場合は製造ロットごとに分析を実施していると考えられる。


 消費者庁は、機能性表示食品や特定保健用食品の機能性関与成分量などについて買い上げ調査を実施し、届出や申請に基づく測定方法で実際に分析を実施している。2020年度の調査結果は、21年4月20日に公表されており、特定保健用食品17社20品目、機能性表示食品が、69社80品目で測定が実施されていた。機能性関与成分が届出どおりに含有されていなかった(下回った)のは、機能性表示食品1品目だけだった。


 なお、下回った製品は、単一の農林水産物のみを原料とする加工食品で、機能性関与成分が、ガイドラインに基づき下回る可能性が表示されていたようだ。そのため、ガイドラインや食品表示法違反にはならない。しかし、事業者は製品ごとのバラツキを小さくする努力を課されており、今後もばらつきが少なくなるような指導がされている。
 この調査結果からも、現状は機能性表示食品においても、機能性関与成分は表示値を下回らないよう品質管理が徹底されていると考えられる。しかしながら、現在の届出数から見ると、調査が実施されたサンプル数はかなり少なく、今後もこのような継続的な調査を実施するだけでは実態が分かりづらい。


 そのため、届出企業側も、積極的に測定と管理体制を公表する必要があると考えられる。届出においては、機能性関与成分の定性分析方法や定量分析方法は原則公開であり、測定方法などはデータベースから読み取れる。しかしながら、届出時の測定結果は公表されていない。事後の分析も事業者の自主的な測定に任されており、消費者庁へ報告する義務はなく、測定結果を単独で公表している事業者は少ないと考えられる。


 一方、事業者団体である(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA)は、会員企業などの事後分析結果を自主的に公表しており、事後の品質管理状況を積極的に公開する動きはできつつある。法律などの規制によるのではなく、事業者の判断によって、事後分析結果の情報公開を、品質管理の一環として積極的に進めることで、より信頼性の高い制度になると考えられる。

(つづく)

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