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エビデンス入門(28)~研究レビューにおける留意点(その2)

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科講師 竹田 竜嗣 氏

 今回も前回からの続きで研究レビューにおける留意点について取り上げる。前回は、恣意的な検索による採用論文となりうる文献の漏れなど検索過程における不備を取り上げた。

 今回は、その後の採用論文からレビューをまとめるにあたっての留意事項について解説する。最終製品による届出と同様に、採用論文の中には、必ず1報は無作為化(ランダム化)比較試験が含まれている必要がある。つまり、対照が置かれていない試験のみの研究レビューでは、機能性の科学的根拠としては不適切と判断される。機能性関与成分によっては、対照(プラセボ)を設定する際に、機能性関与成分が全く含まれないものを設定することが難しい場合がある。

 その場合には、設定された対照が、プラセボとしての役割を果たしているものなのかを試験のデザインや試験品の形状・概要などから説明する必要があるので、プラセボが何であるかは研究レビューの届出の際には重要である。研究目的としては、適切な対照であっても、表示しようとする機能性の評価としては不適切な事例があるため、研究レビューの際は、十分に注意し、考察などによって説明を加えることも重要である。

 また、前回も述べたが、試験結果が限定的である場合は、肯定的結果のみの抽出にならないよう十分注意すること、限定的な結果である場合は、その条件に触れTotality of Evidence(採用論文数や肯定的、否定的両結果を総合的に判断し、肯定的といえるのかどうか)の考え方に沿った説明を加えることも重要である。
 
 また、機能性関与成分の由来やエキスの場合の最終製品との同等性についても研究レビューで考察する必要がある。特に、機能性関与成分は、ガイドライン別紙で、「考え方」と称して、低分子化合物、高分子化合物、腸内細菌などのようにいくつかのパターンで示されており、高分子化合物については、「由来」が重要になってくる。この考え方についても十分に理解し、研究レビューで述べておく必要がある。

 エキスの場合は、さらに複雑である。エキス区分では、一般的に品質管理が十分にされている同一原料を用いた試験品の論文などである必要がある。それらが論文に記載されていない場合や、記載が不十分である場合は、著者に確認し、抽出溶媒や指標化合物の量などが同一であるかを確認できる情報を入手しておく必要がある。エキス区分の届出は、まだ数は多くないが、今後研究レビューによる届出を行う場合は、エキスの情報を十分に確認した研究レビューを組み立てる必要がある。

(つづく)

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