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エビデンス入門(13)CONSORT声明とは

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科

講師 竹田 竜嗣 氏

 今回は、臨床試験のなかでも、特に無作為化比較試験(RCT)の報告で重要とされるCONSORT声明について解説する。機能性表示食品などの臨床試験を実施した場合、最終的にエビデンスをまとめて論文化する。その際に、さまざまな医学系・生物系・農学系といった雑誌に投稿するが、雑誌の投稿規定にCONSORT声明に沿って論文を書くように求められることがある。

 このCONSORT声明は「臨床試験報告に関する統合基準に関する声明」と呼ばれ、1996年に制定されて以降、何度か改定を繰り返してきた。2010年に発表されたものが最新版である。

 CONSORT声明が定められた目的は、そもそも生物系医学雑誌の統一投稿規定が出発点とされている。医学研究が進むにつれ、無作為化比較試験であるプラセボ(偽薬)と真の薬剤を比較することによって、薬剤などの効能を評価する手法が一般的になってきた時代に定められた規定が1つの原点である。

 それまでは、症例報告や介入前と介入後の前後比較によって医学研究を評価してきたが、プラセボなどを対照とする比較試験が主流になってくると、研究の質をどのように評価すべきかといった問題や、研究者が個々にエビデンスを公表することで同じ薬剤の評価でも効果が変わるなど、さまざまな問題が生じるようになった。

 医学研究はヒトの生命に関わる研究も多いことから、論文の読者が評価しやすく、誤解を与えない論文を執筆する必要が出てくる。特にどのような治療にもメリット(効果)とデメリット(副作用)があり、それらを正確に伝える必要性が出てきた。

 そこで、著名な生物系医学雑誌を中心に統一した投稿規定、すなわち医学研究の報告スタイルを定めようとする動きが出てきた。これが、CONSORT声明の始まりであり、今日では、特に無作為化比較試験の報告で記載が必要とされる項目が列挙されている声明となっている。

 内容を見ると、25項目が定められている。研究の背景や方法(特に無作為化の方法や症例数の設定根拠、評価基準など)、結果(有効性解析集団、ベースラインデータなど)、考察、資金源といった利益相反など、臨床試験の計画から終了に至るまでの過程について定めている。

 このなかでも、特に対象者の選択基準や除外基準といった情報は重要であり、詳細に述べられる必要があることや、ハイレベルな雑誌では、プロトコールの公開や生データの公開なども要求することもある。

 近年の医学研究の結果報告の流れとしては、試験の透明性を高めて、研究に対してオープンな議論が行えるように、正確な情報公開が求められていることが挙げられる。機能性表示食品をはじめとした食品の臨床試験では患者を対象としないなど、疾病の治療を目的としている医学研究とはやや離れた位置に位置づけられるが、健康増進という社会的使命を鑑みるならば、医学研究とほぼ同等の水準での情報公開が求められる。

 CONSORT声明を理解することで、研究報告論文の理解度がより増すものと考えられる。

(つづく)

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