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インタビュー~機能性表示食品の公正競争規約

<日本通信販売協会(JADMA)と連携して「準備室」設置>

 (一社)健康食品産業協議会は、機能性表示食品の公正競争規約の作成に取り組む方針を発表。今後の取り組みについて、同協議会の橋本正史会長に話を聞いた。

――公正競争規約の作成に取り組むことになった経緯について、お聞かせください。

 橋本 もともと健康食品産業協議会の木村前会長が10年ほど前から、いずれは公正競争規約の作成に取り組む必要があると主張してきました。

 健康食品産業協議会と(公社)日本通信販売協会(JADMA)は昨年11月、政府の規制改革推進会議に、機能性表示食品に対する景表法運用の問題点を申し立てました。これを受けて、規制改革実施計画が閣議決定され、事業者の自主的な表示適正化の取り組みに対する支援や、第三者的な役割を持つ機関・組織の活用が求められました。また、両団体は機能性表示食品制度の枠組みを議論した消費者庁の「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」に業界代表として参加し、2016年4月には両団体の連名で「機能性表示食品適正広告基準」を公表しています。
 
 こうした流れのなかで、両団体が連携して、広告に関する業界の自主ルールを発展させる必要があるのではないか、という意見が出てきました。今年9月頃には、できるだけ多くの団体と連携して、公正競争規約の作成に取り組むという方向で話が進みました。

 ――作成の進め方は?

 橋本 健康食品産業協議会に「公正競争規約準備室」を設けて、一元化して検討することになりました。JADMA調査役の植木正樹氏が室長を務めます。植木氏は公正取引委員会OBで、消費者庁表示対策課の課長補佐だったことから、景表法や公正競争規約に関する専門的知識を持っています。構成メンバーについては、各団体の推薦によって決定する方向を考えています。

 健康食品産業協議会では「公正競争規約分科会」を立ち上げて、10月21日からメンバーの募集を始めました。分科会で骨格案を議論し、準備室に対して意見を出すというイメージです。広告の問題で困っている事業者や、景表法に精通している事業者などに参加してもらいたいと思います。

 ――公正競争規約で重視する点は何でしょうか。

 橋本 景表法上で問題になる恐れがある表示・広告の排除が、大きな目的です。公正競争規約では、消費者庁が行う機能性表示食品の「事後チェック指針」の検討を踏まえて、広告の自主ルールを規定する考えです。同時に、表示を裏付ける科学的エビデンスも重視し、どの程度の科学的エビデンスが必要なのかという点も検討する方向です。作成に当たっては、事業者側も納得できるものを作成したいと思います。

<行き過ぎた広告・表示の排除を目指す>

 ――機能性表示食品の広告について、どのような問題意識を持っていますか。
 
 橋本 その製品だけを摂取すれば悩みが解決できると、消費者に誤認させるような広告表現は行き過ぎだと思います。機能性表示食品はあくまでも補助的なものであるという基本的な位置づけを逸脱してはなりません。そうした点を是正する上で公正競争規約が作成され、業界の自主ルールである規約を順守してもらうことで、行き過ぎた表示の防止につながると期待しています。

 ただし、公正取引協議会に参加すれば、行き過ぎた広告を行っても、すぐに行政処分を受けることはないという誤解が一部にあることは問題です。法律を守ることが大前提となりますが、公正競争規約を作成し、業界が健全化に向けて努力している姿勢を示すことで、アウトサイダーの事業者が好き勝手な広告をできなくなる方向へ持っていきたいと考えています。

 ――「葛の花」事件では、機能性表示食品の広告のあり方が問われました。

 橋本 「葛の花」事件で見られた広告は、伝え方が消費者の優良誤認を招くと判断されたものでした。公正取引協議会に参加する企業については、問題となる広告を未然に防げるようにしたいと思います。同時に、事業者にとって広告活動を展開しやすい環境を作りたいと考えています。

 ――例えば、システマティック・レビュー(SR)のグラフの使用、臨床試験実施済みの旨の表示、キャッチコピーなどの問題が以前から指摘されていますが。

 橋本 恐らく、そうしたことも検討課題に入るのではないかと思います。どこまでが許容範囲で、どこからが問題となるのかを検討し、決めていくことが必要です。具体的な検討はこれからであり、消費者団体などの意見も聞くことになりますので、そうした外部の意見も踏まえて検討していきます。

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