アサリ産地偽装で国と県に意見書
食の安全・監視市民委が全食品にトレーサビリティ制度導入など
熊本県産アサリの産地偽装問題を受けるかたちで食の安全・監視市民委員会(神山美智子代表)は、熊本県に対して質問状を送付、国・機関に対して意見書を提出した。
蒲島郁夫熊本県知事に宛てた「消費者権利問題に関する質問とお願い」では、①県が開設した「産地偽装110番」に対して通報してきた消費者に対し、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)45条2項、3項に書かれている申告制度のような制度を導入し、通報した消費者に対して調査結果を報告するのか、また110番の運用実績を公開する予定があるか、②今後、再発防止策として、独自の条例制定などによる偽装事業者に対する課徴金、罰金制度などの導入を検討しているか、③今後、熊本県産農産物 ・水産物で、県独自の食品トレーサビリティ制度の導入や充実・強化を図る予定はあるか、④「熊本産アサリブランド適正化協議会(仮称)」に、消費者団体関係者や法曹関係者を委員として迎える予定はあるか――の4点。
また、同会は「アサリ事件は氷山の一角」との見解を示し、若宮健嗣食品安全担当大臣、金子原二郎農林水産大臣、伊藤明子消費者庁長官と消費者委員会後藤巻則委員長に宛てて、全ての食品に監視体制の整備・強化をはじめトレーサビリティ制度の導入などを求める意見書を提出した。
具体的には、①行政機関による監視機能の整備・強化体制の構築、②全ての食品を対象としたトレーサビリティ制度の導入と充実・強化、③食品表示法、景品表示法で規定する申出制度の改善と課徴金算定率の大幅アップ、④関係省庁との取り組みの中で、消費者庁が司令塔機能を発揮するための消費者行政の一元化、⑤アサリ事件における調査経過・結果の情報開示――を強く求めている。
これに先立ち同委員会は、「特定の機能性表示食品に係る申出に対する調査などに関する文書の不開示決定(存否応答拒否)に関する理由説明書についての意見書」を提出。
2021年6月8日に国に対して行った「申出」、それに続く「審査請求書」に対して国が適切に対応しなかったことに対する指摘を行っている。
参考:熊本県産アサリ産地偽装問題に関する消費者権利問題に基づいた質問とお願い(熊本県宛て)
対応遅れは許されない、アサリ事件は氷山の一角 ~すべての食品にトレーサビリティ制度の導入を~(消費者庁・農水省等宛て意見書)
特定の機能性表示食品に係る申出に対する調査などに関する文書の不開示決定(存否応答拒否)に関する理由説明書についての意見書
情報開示に関する審査請求書
食品表示法第12条第1項(又は第2項)の規定に基づく申し出(サントリーウエルネス)
(冒頭の写真:本文とは直接関係ありません)