消費者庁、ニセモノに注意喚起
大塚製薬の『エクエル』
消費者庁は21日、大塚製薬の健康サプリ『エクエル』(120粒・30日分)の偽物がフリーマーケットサイトに出回っているとして、消費者安全法第38条第1項の規定に基づき、広く消費者に注意を呼びかけた。
購入者が大塚製薬に通報
消費者庁によれば、注意喚起の対象は実態のない事業者が販売する商品。今年5月からフリマ「ラクマ」で遠藤・小池・森山などの名を名乗り、大豆イソフラボン配合の健康食品『エクエル』の模造品を販売していた。購入者が正規品との違いに気づき、大塚製薬に通報。大塚製薬が成分分析などを行った結果、偽物と判明した。回収した商品には有効成分は含有されていなかったという。
大塚製薬は5月17日に自社ウェブサイトで注意喚起を行い、楽天グループは同24日に利用者に対して注意を呼びかけていた。
存在しない賞味期限表示
『エクエル』の正規品と偽物は非常に似ており、パッケージの表面はほぼ同じ。表面上は、偽物のパッケージの裏に印字された賞味期限の文字がかすれている程度。しかし、内容物のカプセルは正規品がやや黄色がかっているのに対し、偽物は白色。同梱されている乾燥剤の袋は正規品が透明なのに対して、偽物は白色をしているという。
大塚製薬からは、「2023.2.2C」という賞味期限表示は正規品に存在しない表示との回答を得たという。
これらを単体で見分けるのは非常に困難なため、消費者庁は「(消費者は)本当によく気付いていくれた」と話している。外見上偽物という判断がきわめて難しいことから、PIO-NETへの相談も6月15日時点で2件しか寄せられていないという。
<送り主に購入者の名前>
消費者庁では、6月上旬にもラクマで偽物の疑いのある商品が販売されていることを確認したものの、首謀者が商品を発送する際、伝票に記載された送り主の名前に商品を購入した消費者の名前を用いるなどして巧みに偽装。また、宅配伝票に記載された電話番号についても、電話の利用者が又貸しを繰り返しているなどしているため特定に至らなかったという。さらに、ラクマ側はあくまでもCtoC(消費者対消費者)における取引と規定しているため、すでに削除された情報もあり、フリマ上に掲載されている情報からは送り主が誰か特定できなかったという。
共謀者と相当数を販売
また、このようにラクマにおいて12袋を1セットとした製品が反復継続して販売されていることから、消費者庁は、個人による製造販売とは考えられないとの見方を示している。BtoC取引としか考えられないような相当数の商材が製造されている可能性が高く、共謀者らには今後も販売する意志がうかがえるとして警戒している。
消費者庁は、「出品者に代金が支払われた後は、例え購入した品物が偽物のブランドだと気づいたとしても、購入者がサイトの運営者に返金や仲裁を求めたとしても、運営者は出品者に代金が支払われた後はトラブルに関知しない規約になっている場合がある」とし、消費者に一層の注意を払うように呼びかけている。
別のフリマサイトで購入した人がいるとの情報も見受けられることから、paypayやメルカリへの情報提供なども行い、模造品の流通はもとより、将来的に生じるかもしれない健康被害の未然防止に向けても、広く周知を図りたいとしているようだ。
【田代 宏】
YouTubeチャンネル「消費者庁、ニセモノの健康食品に初の注意喚起」