【特集】改正特商法~優先すべきは優良顧客の育成
㈱DMCの代表取締役を務める高橋氏は、通販ビジネス成功の秘訣は、顧客ターゲットの明確化と、優良顧客育成のための関係作りがカギと話す。特商法の改正が、業界の健全化につながることに期待を寄せる。(敬称略)
<詐欺的定期通販会社の締め出しに期待>
――改正特定商取引法(改正特商法)が公布されました。通販市場の現状をどう見ていますか?
高橋 テクノロジーの進化で、通販ビジネスへの新規参入ハードルが下がりました。そこにコロナ禍の通販ニーズの高まりで、市場は拡大しています。健全に売上を伸ばす通販企業が大半ですが、残念ながらそうではなく、ルールを逸脱した通販会社が存在しているのも事実です。むしろ、そういった企業の方が目立ってしまいますので、市場のイメージダウンを危惧しています。特商法の改正により、強引な販売や過剰な広告を行う通販会社、詐欺的な定期通販を行う事業者の締め出しにつながることを期待しています。
――新規の競争が激しくなるなか、生き残るためには?
高橋 通販会社が増えたことで、新規顧客の獲得競争は年々激しくなっています。そのため、各社何とか新規客を獲得し売上を上げようと、アフィリエイト広告による過剰な広告表現や、定期縛り、解約阻止に意識が行っているように思います。通販ビジネスにおける成功とは何なのかを、はき違えているではないかと思います。確かに新規客は重要です。しかし、最も優先すべきなのは、優良顧客の育成です。優良な顧客になってもらうには、顧客とのコミュニケーションが重要です。
――CRMが重要ということでしょうか?
高橋 CRMと一言で言っても、その施策はさまざまです。また、テクノロジーが進化し、その方法が進化しています。そもそも各社顧客層も違いますし、商品やコンセプトも違います。私は通販ビジネスの基本として、会社コンセプトの明確化とターゲット層の絞り込み、そこから得られる情報に基づく商品開発を提案しています。自社のコンセプトとターゲット層に見合ったコミュニケーションが必要です。
<業界健全化のためのルール作りに期待>
――アフィリエイト広告検討会が発足しましたが何を期待しますか?
高橋 アフィリエイターと通販会社は、そもそも目的が違います。自社のコンセプトを理解してもらうためにも、アフィリエイターとのコミュニケーションも重要ではないでしょうか。アフィリエイトであろうと広告主の責任を明確にする、広告主の意向を無視したアフィリエイターは出稿禁止にするなど、業界の健全化につながるルール作りに期待しています。
――ありがとうございました。
高橋氏プロフィール:2007年㈱ロフティ(現㈱えがお)に入社。取締役に就任後、経営企画・管理部門・システム・物流・コールセンター部門の責任者を歴任。入社から5年の間に、44億円から262億円の売上成長に貢献。現在、その経験を生かし、大手から中小まで数多くの通販会社に健全な業績向上のためのノウハウを提供している。
<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都世田谷区三軒茶屋1-8-21
TEL:090-7581-3636
E-mail:takahashi@dmc-dmc.com
dmctaka0001@gmail.com
事業内容: 通信販売に関するコンサルティング業務、商品開発・マーケティング支援、各種セミナー講演など
【聞き手・文:藤田 勇一】