「むし歯リスク低減」表示の改正へ
トクホ30周年記念講演で伊藤長官が表明
(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA 矢島鉄也理事長)は1月21日、特定保健用食品制度30周年を記念する講演会をオンラインで開催した。
「特定保健用食品の今後に向けて~健康寿命の延伸を考える」を主題に、伊藤明子消費者庁長官、(一財)医療経済研究・社会保険福祉協会の辻哲夫理事長らが講演した。
トクホは国民生活に不可欠
わが国初の食品機能性表示制度として1991年に施行された特定保健用食品(トクホ)は、その後に続く栄養機能食品や機能性表示食品を含めた健康食品の根幹となる制度。基調講演の演者を務めた伊藤長官は、施行当時と現在、2040年の人口や高齢者率などのデータを比較しながら、人生100年時代の健康延伸に寄与する食品制度として、今ではトクホが国民生活に欠かせないものとなっているとの認識を示した。
認知向上のための環境整備を
「しかし認知度調査では、トクホの言葉は知っていても、その中身について知らない人が6割。またコロナ禍では高齢者の巣ごもりによる身体活動の減少という新たな課題も出てきた」とし、セルフメディケーションの観点からも今後は、「消費者が適切に、安心してトクホや機能性表示食品を摂取できる環境を整えていかなければならない」とした。
詐欺的定期通販の取り締まり強化へ
近年には、健康食品の定期購入に関する消費生活相談が増加していることも指摘。
「複数回の継続を要件とする定期販売を規制強化する特定商取引法・預託法の改正を行った。今年6月1日より施行されるこの改正特商法により、誤認を招く表示や解約を妨げる行為を厳しく取り締まっていく」と強調した。
トクホは健康長寿のための大切な制度
また、トクホ検討会では諸外国で認められている疾病リスク低減表示に関しても、すでに許可されたトクホに類似の表示のうち、むし歯のリスクを低減する直接的な表示や、現行制度の許可文言の見直しについて速やかに対応し、今春にも基準改正を行うという。
最後に、「50歳以上の人が人口の半分近くなっている中で、トクホによる補助的な栄養補給も必要になっている。先進国など少子高齢化の動向も見ながら、さらに健康寿命の延伸を図る大切な制度として発展させていきたい」と今後の展望を語った。
【堂上 昌幸】
(冒頭の写真:オミクロン株感染抑止のため事前収録による講演を行った伊藤消費者庁長官)