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旧『茶のしずく』石鹸訴訟終結       回顧ドキュメント『茶のしずく』    

 ㈱悠香(福岡県大野城市)のホームページの下の方、小さな囲みの中に「2012年に提起されました訴訟につきまして」との記載がある。クリックすると、表示された掲示板には次のように書かれている。
 「2012年に提起されました訴訟につきまして」という見出しで、「『(旧)茶のしずく石鹸』を使用したことによりアレルギー症状を呈したとして、2012年に全国の裁判所に提起された訴訟(全28カ所)につきまして、ご報告いたします。
 2020年に東京地方裁判所及び大阪地方裁判所に提起された方と和解が成立いたしました。
 これをもちまして、これまでにあわせて1,368名の方すべてと和解させていただきました。
 弊社と致しましては引続き、肌に直接触れる製品をお届けする企業として、お客様の声に真摯に耳を傾け、更なる品質・安全性向上を目指した製品づくりに取り組んでまいります。
 なお、現在の『悠香の石鹸』(2010年12月8日より販売しております石鹸)は、小麦由来成分を除いたものでございますので、どうぞご安心してご使用くださいませ。
 ご不明、ご不安の点がございます際は、何なりとご相談ください。株式会社悠香 広報担当」

 一部報道によれば、同社が販売していた旧『茶のしずく』石鹸の使用が元で呼吸困難や意識不明に陥るなどの小麦アレルギー症状「アナフィラキシーショック」を発症した被害者が2012年4月20日に全国で一斉提訴を行って以来、その後も続いていた茶のしずく訴訟が12月15日を最後に終結したという。最後の裁判は名古屋地裁で行われ、判決では「アレルギーの発症は製品の欠陥によるもの」とされ、悠香ホールディングス(福岡県大野城市、中山慶一郎社長)と製造元のフェニックス(奈良県御所市)に計330万円の支払いが命じられた。

 悠香は03年に中山慶一郎氏(現・悠香ホールディングス㈱社長)が設立した化粧品会社。通信販売で急成長し、08年に旧『茶のしずく』石鹸が1,000万個を突破、同年6月期の売上は90億円を超えた。翌09年は早くも2,000万個を達成し売上は200億円を超えている。同年、東京ミッドタウンタワーに東京オフィスもオープンした。
 11月、相模原病院の医師が悠香に『茶のしずく』石鹸の成分提出を要求。実は前年12月に石鹸による小麦アレルギー患者が来院していたのである。

 翌10年1月、医師から同石鹸でアレルギー被害が出ているとの指摘を受けた奈良県がフェニックスに口頭で伝える。この時すでに『茶のしずく』は売上3,000万個を突破していた。

 医師の情報提供を受けた国民生活センターは消費者庁に対して、消費者安全法に基づく事故の通知を出すべきかどうかを問い合わせた。消費者庁は、アレルギー症状であることなどのいくつかの指摘を行ない、あいまいな態度を取ったために、結局、重大事故通知は行なわれずに終わってしまう。

 3月、相模原病院の医師が悠香から『茶のしずく』石鹸の成分『グルパール19S』を少量入手。医師は、加水分解小麦アレルギーの可能性を伝え、危険性を示唆する。
この年の5月、モンドセレクションで『茶のしずく石鹸』が3年連続で金賞を受賞。6月期の売上は307億円に達する。8月には4,000万個を突破した。

 10月15日、厚生労働省は、加水分解コムギ末含有石けん製造販売業者に注意喚起の通知を実施。事業者に症例や研究データ等に関する報告の義務を通知する。悠香に原料を供給していた片山化学工業研究所が石鹸の原料となる『グルパール19S』の販売を全面的に中止する方針を決める。

 11月、相模原病院の医師が『茶のしずく』によるアレルギー症状の臨床研究を含めた論文を米国アレルギー臨床免疫学誌に発表。
 その後、悠香は、12月8日に加水分解コムギ末含有の旧『茶のしずく』をシルク由来成分の新『茶のしずく』へ切り替え、顧客へのダイレクトメールや電話で旧石鹸の回収を呼びかける。

 11年2月、アレルギー被害の報告を受けた世田谷区は、消費者庁に対して重大事故として通知すべきかどうかを打診するも、担当者の「アレルギーに関しては確認しづらい・・・」などとする煮え切らない態度から、重大事故として通知する必要がないとのニュアンスを受け取ったため、通知しなかった。

 3月、悠香が初めて、厚労省に被害に関する研究報告を届け出る。
 5月14日、「第23回日本アレルギー学会」で同品に関するアレルギー発症の症例が報告される。そして同20日、悠香はようやく旧『茶のしずく』自主回収に踏み切り、24日に全国3紙に社告を掲載した。
 6月7日、消費者庁が自主回収のお知らせについて公表。  

 7月14日、国民生活センターが緊急記者会見。28日、第177回国会の厚生労働委員会で参議院議員の川田龍平氏が質問。
 8月1日、東京・神奈川・愛知・大阪の4弁護士会が「茶のしずく石鹸アレルギー被害110番」を実施。NHKの生活情報番組で、悠香の自主回収問題が取り上げられる。

 この後、北海道・東京・神奈川・大阪・福岡などの10都道府県で「茶のしずく石鹸被害弁護団」が設立されたのを皮切りに、全国各地で続々と発足、12年4月20日の全国一斉提訴につながる。第一次提訴は、原告535人、賠償額70億4,649万1,623円だった。                                            【田代 宏】
(冒頭の写真:旧『茶のしずく』)

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