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ステマ広告の規制強化へ
消費者委員会本会議で消費者庁表示対策課が説明

 2月15日に公表された有識者会議「アフィリエイト広告検討会」の報告書を受けて消費者委員会は3日、第367回本会議を開催し報告書について審議した。消費者庁表示対策課の南雅晴課長が報告書の説明を行い、委員からの質問に答えた。

 委員からは、アフィリエイト広告を仲介するASPやアフィリエイターに対する規制の可能性について、またSNS型広告、例えばYouTubeなどを利用したステルスマーケティングに対する規制の可能性について質問があった。

 似通った質問が繰り返されたことから、南課長は景品表示法(景表法)が不当表示を行った“事業者”に対する規制法であることを再三強調した。ただし、「理論的にはASPが自らサービスを供給していて、その供給するサービスで表示があって、それが一般消費者に誤認を与えるという実態があれば、これはASPが供給主体として規制対象になることはあり得る」と補足した。

 またSNS型ステマ広告に対しては、「(検討会で)実態を把握した上で検討してくれとの宿題をもらっている。現時点で具体的に決まっているわけではないが、消費者庁としてはいずれ実態を把握し、対応策を検討しなければいけないと認識している」と、今後規制の対象に加える可能性を示唆した。消費者委員会ではすでに、SNSを利用した消費者被害をめぐり、「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」が2月28日にスタート。今月10日、2回目の会合を開く。

 受田浩之委員が質問した。

 「SNS型としてユーチューバーなどの販売事業者でない第三者が報酬を得ているケースもあるのではないか」、「成果報酬と間接的に結びついている広告であるにもかかわらず、広告である旨を明示しないステルスマーケティングと称される行為についてどのような対策を講じるのか」。

 南課長は、景表法では広告主、いわゆるサービスを供給している事業者が基本的に違反行為主体となって措置命令の対象となるが、「必ずしも供給というのは、消費者に直接物を売っていなければならないわけではない。あくまで不当な顧客を誘引しているのは”誰か?”という観点から判断する法的評価のため、広告主以外の事業者が実質的に供給している、ないしは表示を決定しているという評価が可能であれば、そういった者に対して景表法を適切に適用していく」と回答した。そして、昨年11月にインスタグラムで初の措置命令となった事件を例に出した。これは、通信販売会社㈱アクガレージ(東京都豊島区)とアシスト㈱(東京都豊島区)の2社が措置命令を受けたもので、「2社が共同してアフィリエイトプログラムを用いて、表示内容を決定し両方とも供給主体だった。実質的にはある意味、共同行為。消費者利益を守るために、我々としては可能な範囲でできることをやっていく」と強い姿勢を示した。

 一方、景表法の限界にも言及した。

 「景表法というのは残念ながら、不特定多数の一般消費者に誤認を与える表示を規制する法律で、財産被害に関しては無力」、「現行の景表法の枠組みで考えると、優良誤認・有利誤認がないと規制はできない。ただ広告であるにもかかわらず、広告でないかのように装うこと自体、それ自体、直ちに商品サービスの優良性ないしは有利性に結びつかないのでそれ自体は規制できない」と現行法の実情を説明した。

 一方、景表法で処分されてもすぐに別法人を立ち上げるなど、少数の人間が違反を繰り返している実態を取り上げ、「その法人たる事業者を規制しても、結局、その法人を隠れ蓑として別の法人を立ち上げて全く同じことを繰り返すということがある。その背後にいる人物に対して業務禁止命令を出していくことが必要」と、消費者庁が所管する特定商取引法との連携による対策を述べた。

 消費者庁は夏前を目途に、景品表示法第26条「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置」に基づき、アフィリエイト広告版の指針作りを行なう。南課長は、同指針に何らかの形で広告であることが明示する方が望ましいということを盛り込むために「鋭意作業中」と報告した。

 ステマ広告規制はそもそも、アフィリエイト広告検討会で議論する予定で消費者庁が盛り込んでいたのが、事業者側の反発に遭い、立ち消えとなっていたとも言われている。
 本会議の様子は消費者委員会のホームページで動画を公開している。

【田代 宏】

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