WNG、都内でHACCP対応セミナー開催
(株)ウェルネスニュースグループ(東京都港区)は15日、食品事業者を対象にHACCP制度化に対応するためのセミナーを都内で開催した。(有)ミクロバイオテック代表取締役の浅野行蔵氏が講師を務めた。
民間企業で工場勤務の経験を持つ浅野氏は、実務者目線 でHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point) の合理的な運営のためのポイントを解説。「HACCPの義務化とはどういうことか」、「衛生HACCPは衛生管理と同じなのか」、「HACCPは誰がやるのか」、「倉庫業や店舗販売とHACCPはどう関わるのか」、「GMPとどう違うのか」などについて、HACCPの歴史やユニークな例えを交えながら説明した。
浅野氏は、「危害要因分析必須管理点」などというHACCPの和訳は非常にわかりにくいと指摘。食品が安全であるように製造するために、「心配事をいちいち見える化し、それに対してどのような処置をするのかを決断し、安全のための外せない勘所を定めて、全ての商品の製造において勘所での処置を見える化する」ことが大切と話した。
また、HACCP制度をトーナメント方式の勝ち抜き戦に例え、「1回戦で敗れたら2回戦はない」とし、「心配事を見える化し、どのような処置をするかどうかを判断するまでが最も重要」(HA)と強調。「強い心配性になって、無理やりでも心配事をリストアップすること」とし、必須管理点の決定についてはHAの結果に基づき決定すればよいと話した。
浅野氏がHACCPの重要性を理解したのは、2000年に起きた雪印乳業による集団食中毒事件だったという。「同社はマル総(総合衛生管理製造過程承認制度)の認証工場で製造していたにもかかわらず、大規模な食中毒事件を起こした。これは、マル総の運営が実務者レベルで適正に行われていなかったから」と指摘。書類を山ほど作成しても、実務担当者と連携できる仕組みがなければ意味はなく、山積した記録は会社が倒産した後にしか役立たないとし、「HACCPのほかにもISO22000やFSSC22000など、食品の製造管理の安全性に関連した認証は百花繚乱。いろいろな認証があるが、HACCPの心をとらえた認証は少ない。認証を取得するだけではなく、ぜひHACCPの心をとらえた運営をしてほしい」と述べた。
(冒頭の写真:講演する浅野行蔵氏)
【田代 宏】