フルリモート化によって生産性が大幅に向上

――緊急事態宣言の発令中、貴社ではどのような勤務体制を取りましたか？

佐々木　私自身、会社には出勤していません。出社して行わなければいけない作業レベルの仕事がある者数人以外は、全てテレワークを実践しています。これまでは、都市圏に住む人たちは特に、在宅勤務やフルリモートを考えずに住宅を確保してきましたが、その辺りを織り込めば、今後は住宅環境も大きく変わると思います。

――例えば？

佐々木　今はスペース的に難しいにしても、スポーツ志向の人たちは今後、ヨガやエクササイズなどのグループトレーニングができる住環境を求めるようになるでしょう。満員電車に乗らない快感を味わうと、二度と電車で通勤したくなくなるのではないでしょうか。

サラリーマンが定年後に仕事を振り返ってみて棚卸をしたときに、「一生涯に費やした仕事のベスト3」を上げると、第1位が通勤、2位が会議、3位が何をしているかわからないと言います。皮肉なことですが、その3つがフルリモート化によって全てなくなるわけですから、生産性は大いに上がりますね。

ノン・オフィス化も視野

――それをうまく使いこなせない企業は淘汰される？

佐々木　新しい仕事が生まれていますから、組織のあり方が変わりますし、逆に消えていく人材も増えるでしょう。当社でも、従来の仕事をこなしながら新しい仕事を作って、チームの振り分けを見直しています。6月中旬頃に今のオフィスからフルリモートに対応したオフィスに移転する予定です。

――オフィスをなくしてしまうのですか？

佐々木　はい。皆が集まる必要があるときは、レンタル会議室かテンポラリーのシェアオフィスを借ります。オフィスがあるから通勤するので、なければないなりにオンラインによるミーティングなどを活用して全員が工夫するでしょう。必要のない家賃分を社員に還元すればよいと考えています。そうすれば社員ももっと広い家に引っ越したり、景色の良い郊外に移ったりすることができ、週に1度、月に1度、東京で行うミーティングには旅行気分で集まってもらえればいいのかなと思っています。

これからは契約書だってクラウドサインでペーパーレス化が進むでしょうから、これまでみたいにわざわざハンコをもらいに行くこともなくなるでしょう。銀行取引などの関係上、文字どおりオフィスをなくしてしまうことは無理にしても、そもそもみんながデスクを並べ、肩を寄せ合って仕事をする場所という意味でのオフィスという概念はなくした方がいいでしょう。

――ありがとうございました。

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香川県高松市国分寺町新居852（香川オフィス）
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事業内容：各種展示会運営など

（写真：「ZOOM」を用いたインタビューに応じる佐々木社長）

【聞き手・文：田代　宏】

（了）