OPACK、都内で機能性表示セミナー、2回目 海外マーケ進出の好機?レギュレーションは?
「農林水産物の輸出促進研究開発プラットフォーム@九州・沖縄」(プロデューサー、九州大学 理事・副学長 福田晋)は12月7日、都内で(公財)九州大学学術研究都市推進機構(OPACK)、「知の集積と活用の場 産学官連携協議会」(農水省)の共催による公開セミナー「農林水産物の輸出拡大に向けた農産物の高付加価値戦略~機能性表示食品の活用~」を開催した。
機能性表示食品の活用をテーマとした前回10月開催のセミナーでは、農林水産物の輸出促進における高付加価値戦略としての機能性表示食品の可能性と課題について議論したが、今回は機能性表示食品の海外展開に向けて認識すべきことや、諸外国のマーケットから求められるレギュレーションなどの課題についてディスカッションが行われた。
講演では、福岡県内のバイオ分野の事業支援を行う(株)久留米リサーチ・パークの服部誠一氏が機能性表示食品における現状と課題を、(独)日本貿易振興機構(ジェトロ)の石田達也氏が日本産の機能性表示食品の海外対応について語った。
服部氏は消費者庁の6月30日の措置命令や9月のガイドライン改定に触れながら、「専門的な知識が必要な分野。PRISMA声明2020への準拠などを盛り込んだガイドライン改定により、中小企業にとってハードルはさらに高くなった印象だ。届出後のチェックも厳しい傾向にある」とし、「研究機関に丸投げではなく、事後対応に備えられる体制づくりが必要」と語った。
機能性表示食品の海外展開については石田氏が「今こそ企業と大学・研究・公設試験機関が海外バイヤー目線で輸出に取り組むべき」と話した。
「来年も国際情勢やインフレなどのリスク要因がある。特にエルニーニョなどの気候変動は農水産食品にとって大きな影響をもたらすため、世界じゅうでフードセキュリティーに注目が集まりそうだ。これは高機能・高品質を有する日本の機能性食品の輸出にとって追い風になる」との認識を示した。
また、「高品質な食品を製造・販売しているのに、EUとアメリカを合わせて2割程度しか輸入されていない。解決法の一つは海外バイヤーへの商談の仕方にある」とし、海外バイヤーにその価値を伝え理解してもらえるよう、説明の仕方に注力する重要性も指摘した。
【堂上 昌幸】