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LPSの最新知見を発表
自然免疫制御技術研究組合がシンポジウム

 自然免疫制御技術研究組合(香川県高松市、杣源一郎代表理事)は3月4日、笹川記念会館(東京都港区)で「第10回シンポジウム」を開催した。感染予防のため聴講者の定員規模を大幅に縮小したが、後日(3月中旬)ネットでもオンデマンド配信する。

 杣代表理事は冒頭の挨拶で、「前回シンポジウムではウェブのみだったため、その内容をさらに深化させるべく環境応答が自然免疫とどのように関わり、また環境由来や常在細菌LPS(リポポリサッカライド)がいかに生体の恒常性維持に本質的な役割を果たすかをパート2として企画した」と説明。シンポジウムではLPSの分野で先駆的な研究を展開する講師による演題とともに、同組合の最新の研究成果も発表された。

 慶応義塾大学医学部の竹馬真理子准教授は、接触皮膚炎とアレルギー予防に対するLPSの新たな有効性について報告した。
 刺激性とアレルギー性におけるマウス試験では、LPSを塗布したマウスでは炎症刺激性が有意に抑制され、アレルギー性では2週間前から塗布した場合に接触皮膚炎が抑制された。
「T細胞の活性化はなく、樹状細胞による貪食は半分程度。刺激成分を取り込むことを抑えたことでアレルギーの発症も抑制したと考えられる。このことからLPSの長期間の塗布は接触とアレルゲンに有効」とした。
また後半には、加齢皮膚への有効性の可能性についても研究成果を報告。若いマウスと老化したマウスの表皮層にLPSを塗布した試験では、「老化したマウスの皮膚の厚さが復活し、LPSは加齢皮膚に対して菲薄化(肌痩せ)に有効」との見方を示した。

 「グラム陰性菌由来LPSの皮膚、粘膜に対する免疫調節作用」を演題にした北海道科学大学薬学部の若命浩二准教授は、食品としてのキノコ、発酵食品について、菌類由来の免疫賦活物質PAMPsとToll様受容体、小麦共生グラム陰性菌由来のLPSによる抗アトピー、育毛作用に関する研究発表を行った。

 さまざまな果実・野菜発酵食品、600種類に及ぶ漢方薬に対して成分中のLPS含有量を調べた若命准教授は、「果物野菜の発酵食品においては若干LPSがあるが、それ以外の菌由来のものが免疫系に作用していることも考えられる。漢方薬ではレンコン、蓮根など根の部分にLPSが多かった」と報告。
 また、半世紀以上販売されていた痔の治療薬にもLPSが入っていたことを例に示し、「アレルギー抑制や免疫活性など、LPSによりさまざまな相互作用があり、どのようなメカニズムであるのか、今後も研究を続けたい」と述べた。後半ではマウス実験によるLPSの育毛に与える影響について、毛母細胞に含まれる成長因子であるFGF-7 、VEGFの上昇が認められたことも報告した。

【堂上 昌幸】

(冒頭の写真:シンポジウムの様子)

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