JST、薬の副作用・効能を予測するAIシステム開発
(国研)科学技術振興機構(JST)は10日、医薬品や機能性を持つ食品によるヒトでの副作用・効能を予測できるAIシステム「hMDB」の開発に成功したと発表した。バーチャル創薬やバーチャル治験への活用に期待できるという。研究成果は「iScience」(Cell Press)オンライン速報版に掲載された。
AIシステム「hMDB」は、ある物質を投与したマウスの全身網羅的なトランスクリプトーム(特定の状況下で細胞中に存在する全てのmRNA、一次転写産物の総体)データを指標に、当該物質がヒトで起こす副作用や効能を予測。これを用いて、医薬品などの副作用・有害事象や効能について、物質の構造や作用メカニズムなどの情報を用いずに高精度に予測できると説明している。
「hMDB」を発展させて、性別・年齢層別に副作用・有害事象と発生頻度を予測できる「hMDB-i」と、ドラッグ・リポジショニング(臨床レベルで安全性と体内動態が確認されている既存薬から、別の疾患に有効な新しい薬効を見つけ出し、その適用に向けて開発しようとする研究手法)への活用が期待できる「hMDB/LP法」も開発した。
これらのAIシステムは、バーチャル創薬・バーチャル治験プラットフォームの1つとして事業化されており、現在は「究極のローリスク、ローコストの医薬品開発ツール」を目指した開発が進められている。