HMBの機能性表示食品、届出撤回の真相（中）
＜「歩行能力の改善」の表現が疑義に＞
HMBを配合した機能性表示食品の届出撤回が続いている理由は何か。取材を続けるなかで浮かび上がったのが、届出表示の文言に問題があるということだった。
撤回した4件は、「自立した日常生活を送る上で必要な筋肉量および筋力の維持・低下抑制」と「歩行能力の改善」の2つの機能性を訴求している。前者の機能性だけを訴求する届出については、撤回されていない。撤回した4件の共通点は、「歩行能力の改善」を標ぼうしていることだ。
信頼筋によると、「『歩行能力の改善』という表示が医薬品医療機器等法（薬機法）に違反しないか？」という疑義が生じているという。このため、撤回の動きが出始めたとみられる。
「歩行能力の改善」は、従来から複数の医薬品で標ぼうされてきた表現。医薬品の効能効果をそのまま食品で用いるかたちとなったことから、薬機法に抵触する恐れがあると指摘されたわけだ。
同様の問題は、睡眠効果を訴求する機能性表示食品でも発生している。届出者にとっては、届出表示文言が医薬品で使用されている表現と酷似していないかどうかを慎重に吟味することが重要となっている。
＜ほかの機能性表示食品へも波及？＞
HMBを配合した機能性表示食品の届出撤回は、今後も続くと予想される。「歩行能力の改善」の文言を届け出ているのは、撤回した4件以外にも、12月7日現在で7件を数える。残り7件についても、最終的に撤回を求められるのは必至だ。
さらにHMB問題が、ほかの機能性関与成分を配合した届出にも波及する可能性がある。「歩行能力の改善」の表現は、ロイシン40％配合必須アミノ酸を配合した機能性表示食品でも見られる。
（つづく）
